その他
新社長の登場で変革進むか、日本ユニシス 求められる「経営方針の具体性」
2011/08/18 21:07
週刊BCN 2011年08月08日vol.1394掲載
7月1日付で、大手システムインテグレータ(SIer)の日本ユニシスのトップに就任した黒川茂氏の記者向け懇談会。2009年3月期から、同社の売上高と営業利益が大きく落ち込んでいるなかでの社長交代ということもあって、黒川社長は果たしてどういう戦略で業績回復を図っていくのか──東京・豊洲にある日本ユニシスの本社に集まった記者たちは興味津々だった。しかし、質疑応答の時間が30分以上にも及んで、記者たちがあらゆる観点から黒川社長の方針に迫ろうとしても、答えが曖昧で、「これぞ!」というアイデアをもっていないという印象を残した。
金融業などを相手にした大型のSI案件を強みとする日本ユニシスは、リーマン・ショックによる景気低迷を境に従来型システム構築の需要が減少していることを受け、ここ数年で、大幅な業績悪化に直面している。売上高は、08年3月期に約3377億円だったのが、11年3月期には約2529億円へと減少し、営業利益は約196億円から約65億円へと激減している。懇談会では、記者たちが日本ユニシスの業績推移に言及し、回復を目指した施策について、かなり厳しく問い詰めた。だが、黒川社長は、腰を低くして穏やかな態度を崩さず、全社のビジネスのスピードを向上させたり、プライベートクラウドなど同社が「まだ入り込めていない領域の開拓に注力する」ということを繰り返すだけで、具体的な方針に関する発言はなかった。
黒川社長は、売上高2500億円の目標達成を今年度のミッションに掲げ、「なるべく早く、売り上げを3000億円にまでもっていきたい」との考えを明らかにした。そのために、今後、従来型のシステム構築を事業の主軸としながらも、クラウドをはじめとしたサービス事業を強めていくという。しかし、日本ユニシスはクラウドサービスの展開が遅れているだけでなく、もう一つ、事業拡大を妨げる大きな要因があると考えられる。数人の記者が指摘したように、日本ユニシスは業績の悪化に伴い、社員のモチベーションが下がって、社内が元気を失っているというのがその要因だ。黒川社長は、自分は日本ユニシスで初めてのプロパー(生え抜き)の経営トップであり、長年にわたってシステムエンジニア(SE)として現場での経験を積んできたことをアピールした。であるならば、なおさら経営方針の柱を鮮明にして、社内を元気づけることこそが、新社長としてまず着手すべきことだろう。
業績に貢献している事例として、黒川社長は、電気自動車の充電を行うサービス「smart oasis」を披露した。このところ、エネルギー使用の効率化や、都市インフラの改善を図る「スマートシティ」が注目を浴びている。そんななかで、ICT(情報通信技術)を活用したサービスは、業績回復につながる商材になる可能性があり、注力すべき事業領域だと考えられる。(ゼンフ ミシャ)
7月1日付で、大手システムインテグレータ(SIer)の日本ユニシスのトップに就任した黒川茂氏の記者向け懇談会。2009年3月期から、同社の売上高と営業利益が大きく落ち込んでいるなかでの社長交代ということもあって、黒川社長は果たしてどういう戦略で業績回復を図っていくのか──東京・豊洲にある日本ユニシスの本社に集まった記者たちは興味津々だった。しかし、質疑応答の時間が30分以上にも及んで、記者たちがあらゆる観点から黒川社長の方針に迫ろうとしても、答えが曖昧で、「これぞ!」というアイデアをもっていないという印象を残した。
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