その他
真の「海外展開」には何が必要か 海外を日本市場の延長と捉えるITベンダーの限界
2011/12/01 21:07
週刊BCN 2011年11月28日vol.1409掲載
昨年あたりから活発化している国内ITベンダーの海外展開。本紙は、毎週のように、海外ビジネスの拡大を狙うITベンダーの取り組みについて報道している。しかし、実態からして、彼らの動きは本当の意味での「海外展開」、すなわち海外のマーケットで海外の現地企業に向けて日本発のITソリューションを販売するということに当てはまるのだろうか。取材を重ねるうちに、そうではないのでは、と疑問を抱くようになった。
記者は、昨年は中国で、今年は国内で、数十回にわたって日本のITベンダーの海外戦略について取材を続けてきた。その結果、ITベンダーの大半は、海外に進出した日系企業に向けて日本国内とほぼ同様の製品/サービスを提供することを「海外展開」の主な柱としていることがわかった。要するに、現地のユーザー企業をターゲットとしてビジネスを展開するのではなく、海外を日本市場の延長とみて、日本国内の事業モデルはそのままで、単に場所を海外に広げただけともいえよう。
日系企業にターゲットを絞ってビジネスを展開することは、現地企業を狙うよりもリスクが少ないし、それなりの市場も形成されている。しかし、そのぶん、大きな成長は見込めそうにない。アジアでビジネスを拡大し続けているIBMやSAPのように有力なグローバルプレーヤーになりたいと思うのなら、現地企業を主力ターゲットに設定する必要がある。日本のITベンダーは、高品質ですぐれた商材をもっているので、本格的に現地企業を狙って営業戦略を現地の事情に合わせれば、成功する可能性は十分に見込める。
例えば、中国ではどう動くか。中国の情報サービス・ソフト市場は、2015年までにおよそ4兆元、日本円でいえば、約48兆円市場に拡大すると予測されている。中国の日系企業の市場とは比較にならないほど巨大な規模だ。中国は、現地企業向けのビジネスを軌道に乗せるには非常にハードルが高いとよく聞くが、地場SIerとの連携や、中国ビジネスに詳しい台湾のITベンダーと組んで中国市場を攻めるなど、ヒントになる事業モデルがいくつかかたちになってきている。
真の「海外展開」を実現するために肝心なのは、現地企業をターゲットにするという目的を明確に定めて、ローカルの企業と連携するかたちで、早期に現地での販売網を築くことだ。IBMやSAPは、古くから中国に進出しており、今は現地に根づいてビジネス展開をすることができている。日本のITベンダーは、大手外資系に並んで、「まずは日系企業を狙う」という回り道をせずに、現地市場の攻略に挑んで、ビジネスに活用する人的ネットワークをつくるべきだ。それこそが、本当の意味での「海外展開」につながると考えられる。(ゼンフ ミシャ)
昨年あたりから活発化している国内ITベンダーの海外展開。本紙は、毎週のように、海外ビジネスの拡大を狙うITベンダーの取り組みについて報道している。しかし、実態からして、彼らの動きは本当の意味での「海外展開」、すなわち海外のマーケットで海外の現地企業に向けて日本発のITソリューションを販売するということに当てはまるのだろうか。取材を重ねるうちに、そうではないのでは、と疑問を抱くようになった。
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