システムインテグレータ(SIer)のソラン(現 TIS)は、2010年、有価証券管理システム「XNETサービス」の環境をクラウドで提供する「smartXプラットフォームサービス」を開発し、このサービスを低額で提供する基盤として、日本ストラタステクノロジーの無停止型仮想化プラットフォーム「Avanceソフトウェア」を導入した。「Avanceソフトウェア」を活用して、「smartXプラットフォームサービス」を月額5万円という割安な料金で展開している。
TIS
会社概要:ITホールディングスグループの大手SIer。「東洋情報システム」として、1971に設立された。2011年4月、TIS、ソラン、ユーフィットの合併によって、新生TISが発足。東京・竹芝に本社を構える。
サービス提供会社:日本ストラタステクノロジー
プロダクト名:「Stratus Avanceソフトウェア」
「smartXプラットフォームサービス」の利用イメージ
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日本ストラタステクノロジー マーケティング部 松崎展晃 プロダクトマーケティング部長 |
ソランは、有価証券管理システム用のPaaS環境「smartXプラットフォームサービス」の提供を、2010年10月に開始した。2011年4月、TIS、ソラン、ユーフィットの3社が合併し、新生のTISが発足したことによって、今、「smartXプラットフォームサービス」はTISのサービスとして提供されている。
「smartXプラットフォームサービス」の企画開発の指揮を執った元ソランの稲森高司氏(現 TISのIT基盤サービス第1営業部主査)は、「サービスの開発にあたって、月額5万円の利用料金を条件として決めた。月額5万円という低料金を実現するために、必要な開発コストやインフラコストを算出し、適切な基盤ソリューションを探していた」と経緯を語る。
稲森主査が導入を決断した「Avanceソフトウェア」は、アプリケーションを処理の中断やデータ喪失などから守る無停止型仮想化プラットフォームである。障害予兆検知や自律連続稼働といった機能を備え、運用オペレーションでのミス発生を防ぐものだ。2台の標準IAサーバーにインストールすれば、仮想化機能を標準装備した無停止プラットフォームが完成するので、シンプルな物理構成による導入のしやすさを実現している。
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TIS IT基盤サービス第1営業部 稲森高司 主査 |
稲森主査はソリューションを検証する過程で、主に「Avanceソフトウェア」とVMwareの製品を比較していた。「VMwareでの冗長化構成は、最初から何十台のサーバーを入れなければ、1台あたりのコストが高くなるので、当社の事業形態では割高になる。一方、『Avanceソフトウェア』は、小規模の二重化された仮想環境から拡張していくことができ、スモールスタートが可能なので、当社にはぴったりのソリューションだった」と話す。低コストでの導入ができる「Avanceソフトウェア」を採用することによって、「smartXプラットフォームサービス」を月額5万円の低料金で提供することができたというわけだ。
「Avanceソフトウェア」の導入プロセスで、日本ストラタステクノロジーはソランを積極的に支援した。実証実験の環境を構築するために、システム稼働に必要なサーバー2台をソランに貸し出すなどのサポートによって、「導入と本格稼働をスムーズに実現することができた」(稲森主査)という。
「smartXプラットフォームサービス」は、「Avanceソフトウェア」を活用し、このところ、販売活動が順調に進んでいる。稲森主査は、「現時点でおよそ30社への導入実績があるが、2012年には、倍くらいに増やしたい」と考えている。
「Avanceソフトウェア」の提案活動に携わった日本ストラタステクノロジーマーケティング部の松崎展晃プロダクトマーケティング部長は、ユーザー企業の要望に応えることを重視し、ソランに対して、「Avanceソフトウェア」のさまざまな細かい調整に対応した。「米国では、主に中堅・中小企業に『Avanceソフトウェア』を提供しているが、日本では大企業での利用が多い。日本のユーザー企業のニーズを把握し、積極的に要望に応えていきたい」としている。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・低価格のサービス料金を実現する低い導入コスト
・充実したサポートによる安心感
・サーバー2台だけでできるシンプルな構成