リコージャパン(佐藤邦彦社長)は、中小企業向けクラウドサービスの提供を加速する。すでに昨秋、クラウドの総合ブランド「リコーワンストップくらうど(ROC)」の提供を開始した。この動きに合わせて、2012年は、営業担当者の評価制度を刷新する意向だ。基幹系業務アプリケーションベンダーのクラウドに対する姿勢にも少なからず影響を与える可能性がある。
リコージャパンが提供する「ROC」は、パートナーである他社のクラウドサービスを集めてメニュー化したもの。現在揃えている「ROC」のサービスメニュー数は16を数える。このうち、基幹系の業務アプリはピー・シー・エー(PCA)の「PCA for SaaS」だ。
リコージャパンの飯塚博之・販売戦略本部プロダクト推進センターNS事業推進室ITサービス推進グループリーダーは、「『PCA for SaaS』は、3ケタ弱の提供実績がある。ユーザー企業のクラウドに対する関心が高まるなか、オンプレミスで運用しているケースがいまだに少なくないとはいえ、機は熟している。4月以降、モバイル、クラウドにいっそう力を入れる」と強調する。
クラウドサービスの提供に本腰を入れるにあたっては、営業担当者の評価制度を変更する意向だ。「個々のクラウドサービスは月々の金額が小さいので、一定の期間をまとめて営業の評価とするポイント制を導入する」(八條隆浩・販売戦略本部アライアンス推進室室長)。シングルサインオンの仕組みづくり、業務アプリの包括契約による割引制度の実施などにも取り組む方針だ。
リコージャパンは、オービックビジネスコンサルタント(OBC)や応研などの業務アプリケーションベンダーの有力な販売パートナーでもある。神田博・販売戦略本部プロダクト推進センターNS事業推進室室長は、「2011年は、基幹系業務アプリの販売が大きく伸びた。OBCやPCA、OSのバージョンアップが追い風となった」と語る。パッケージとクラウドサービスは、企業規模や業務領域などに応じて売り分ける考えだ。応研やOBCの業務アプリの販売にも引き続き注力する。「多拠点でデータ管理する必要がある場合は、クラウドとモバイルの親和性が高い」(飯塚リーダー)からだ。
主要な基幹系業務アプリベンダーは、一部ASPやクラウドオプションの提供に乗り出しているが、現段階でクラウド事業の強化を経営方針として明確に打ち出しているのはPCAだけである。PCAの水谷学社長は、「『Azure Storage』を利用する文書管理サービス(eDOCX)をすでに用意しているが、この程度では、クラウドに対応したとはいえない。もっと広範囲に『Azure』対応したい」と強い意気込みをみせている。
クラウド事業の展開に慎重な販売店がいまだに少なくないのは確かだが、リコージャパンのような大手販社が、パッケージ販売にとどまらず、クラウドサービスの販売に本腰を入れ始めたことは無視できない。(信澤健太)

(左から)リコージャパンの飯塚リーダー、神田室長、八條室長