その他
「モジュール化」に込めたAMDの目論見 新CPUの発売スピードと新しい協業がカギ
2012/03/29 21:07
週刊BCN 2012年03月26日vol.1425掲載
日本AMDは昨年、デスクトップパソコン向けCPU「AMD FX」、サーバー向けCPUとして「Opteron 6200」シリーズと「Opteron 4200」シリーズを発売した。「Opteron 6200」は、世界初の最大16コアCPUで、革新的であることは確かである。なかでも注目すべき点は、これまでとは異なった開発手法を取り入れたことだ。
「AMD FX」「Opteron 6200」「Opteron 4200」は、「Bulldozer(ブルドーザ)」という新アーキテクチャを使ってCPUに仕上げた。「ブルドーザ」は、使用頻度の高いデータを蓄積する「L1キャッシュ」が独立している構造になっており、CPUが動作する時にCPUの速度とメモリの速度のギャップを埋めるために使われる小容量の高速メモリ「L2キャッシュ」などをモジュール化している。モジュール化によるメリットは、L2キャッシュを変えることで性能が向上する点にある。つまり、新しいCPUを発売する時期が早まるということだ。林淳二・エンタープライズ事業本部長は、「モジュールした部分を変えるだけなので、今年末には、さらに性能を高めた新しいCPUを市場に出すことができる」と自信をみせる。
AMDでは、モジュール化に似た手法をAPUでも取り入れている。APUは、CPUとGPUを統合したプロセッサで、CPUの画像データ処理機能を強化したかたちのものだ。パソコン以外でも、搭載すると性能が格段に向上する製品が出てくる可能性が高いと判断されており、今後はAPUにサードパーティのIPコア(回路情報)を取り込むことを進める。林本部長は、「これによって、さまざまな製品にAPUを搭載できる環境が整う」としている。
AMDがプロセッサの開発手法を変更したのは、パソコンやサーバーなどのCPUをすばやく製品化して優位性を高めるためだ。つまり、既存領域でのビジネスをさらに拡大していく狙いがある。林本部長は、「これまで当社のCPUは、サーバー分野ではHPC(高性能コンピューティング)向けに導入されるケースが多かった」と認める。そこで、「HPC向けのビジネスを維持していきながら、今後は『クラウド』『仮想化』『DB(データベース)』といったキーワードをベースにビジネスを拡大していく」との方針を示す。また、APUでサードパーティのIPコアを取り込むといった新しい協業が実現できれば、「業界の枠を超えて、さらにビジネス領域が広がる」としている。
AMDが取り組んだプロセッサの「モジュール化」は、既存領域の拡大と新領域への参入という壮大な野望があった。とくに、新領域への参入という点では、IT分野だけではないマーケットが、それだけ広がっていることを物語っている。(佐相彰彦)
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