ゴルフ関連ビジネスを手がけるゴルフダイジェスト・オンライン(GDO、石坂信也社長)は、インターネット上で提供しているユーザー向けサービスの拡充に伴って、複雑化したシステムの可視化に取り組んだ。連携を重視したシステムの刷新も行い、2011年7月にインフォテリアのEAIツール「ASTERIA WARP」を導入。それぞれのシステムで行っている処理や、どのシステムが連携しているかが把握できるようになった。今後は、ユーザー向けサービスの拡充に向け、クラウドサービスとの連携で効率化を目指す。
ゴルフダイジェスト・オンライン
会社概要:2000年5月1日設立。インターネット上で、ゴルフ用品の販売、ゴルフ場の予約、ゴルフ関連情報の配信を手がける。2011年度(2011年12月期)の売上高は120億9400万円。
プロダクト提供会社:インフォテリア、SCSK
プロダクト名:「ASTERIA WARP」
システム構成のイメージ
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ゴルフダイジェスト・オンライン 清水正朗マネージャー |
GDOは、ゴルフ用品の販売、ゴルフ場の予約、ゴルフ関連のニュースをインターネットで提供している。システムの構築でコンセプトに据えているのがスクラッチ開発だ。2000年の設立当初は、ゴルフ場の予約サービスや会員管理などシステムの仕組みはまだシンプルで、問題なくシステムを稼働することができたが、その後、用品販売や関連ニュースの配信など、サービスの拡充に伴って独自のシステムを拡張し、機能単位のシステムとして1000以上が稼働するまでになった。システムの運用や保守を担当する清水正朗・ビジネス基盤グループシステム部マネージャーは、「システムを個別に開発してきた結果、さまざまなシステムが混在する事態に陥った。なかには類似した機能を重複して開発しているケースもあった」と振り返る。そこで、本格的なシステムの刷新を決断。最も重要視したのは、さまざまなシステムをつなぐことだ。そのためには、「システム全体の把握が不可欠」(清水マネージャー)と判断して、インフォテリアの「ASTERIA WARP」の導入に踏み切った。
「ASTERIA WARP」を提案したのは、GDOにCRM(顧客関係管理)システムなどを納入した実績をもつSCSKだ。SCSKの奥谷篤史・ミドルウェアソリューション部システム連携ソリューション課長代理は、提案の理由として、「『ASTERIA WARP』なら、1000以上のシステムをわかりやすく可視化することができる」という点を挙げる。GDOの清水マネージャーは、「ほかの製品も検討したが、実際に何が起きているかが最もわかりやすかったのが『ASTERIA WARP』だった」と評価する。また、GDOがSAPの統合基幹システム(ERP)を使っており、SCSKがSAPのERPと他システムとを連携する専用アダプタ「ASTERIA ERP Adapter for SAP」をもっていたことも決め手になった。
「ASTERIA WARP」導入の効果は大きかった。システムにかかるコストが導入前と比べて60%ダウンし、メンテナンスの負荷軽減にもつながった。さらに、「新しいシステムの開発期間が4分の1になった」(清水マネージャー)という。それでも清水マネージャーは、「システムの刷新は、まだ道半ば。今後の開発案件も『ASTERIA WARP』を通して既存システムとの連携に取り組んでいく」という。
清水マネージャーは、システムの将来像を「現段階では、自社のデータセンター(DC)内のシステム連携にとどまっているが、ユーザーサービスを拡充するためには、サービスを迅速に開始できるシステム開発力が必要になってくる。自社で開発するだけでなく、パブリッククラウドを使うことも視野に入れている」と語る。開発期間を短縮するために、アマゾンのAWSやマイクロソフトのWindows Azureなどを有効活用して、「自社システムとクラウド上のシステムを連携させたい」ともいう。セキュリティなどの観点から、自社システムとパブリッククラウドとの連携は、現段階で難しい状況だという。SCSKとの二人三脚でパブリッククラウドとの連携を模索しながら、サービス立ち上げのスピードを速める策を講じていく。(佐相彰彦)
3つのpoint
・システムの可視化に成功
・システムコストが60%ダウン
・開発期間を従来の4分の1に短縮