インターネットイニシアティブ(IIJ)グループで国際事業を手がけるIIJグローバルソリューションズ(IIJグローバル)は、クラウドを商材として、中国企業向けビジネスを開始しようとしている。(取材・文●ゼンフ ミシャ)
→「<パートナーの力を生かす“5か条”>地場に根ざすビジネスを立ち上げろ」 から読む IIJグループは、日本国内ではネットワークインテグレーションを主要事業としているが、中国では国内とは違うビジネスモデルを採用する。IIJグローバル中国の西俣辰男董事長は、「中国では現地の競合他社が多く、ローカル市場を開拓するには、インテグレーション事業では限度がある」として、2009年にIIJグループが新規ビジネスとして国内で提供を開始した法人向けクラウドサービス「IIJ GIO」の展開を中国ビジネスの柱とする考えだ。中国は、経済成長とともにクラウドサービスの需要が高まっており、そんななかで、IIJグローバル中国は「IIJ GIO」を中国企業のニーズを満たすのに最適の商材とみている。
パートナーの利益を重視

IIJグローバル中国
西俣辰男董事長 IIJグローバル中国は、今年3月に大手通信事業者であるチャイナテレコムと提携し、同社のDCやネットワークインフラを利用することによって、クラウドサービスの中国での提供を実現する。サービスの提供を早期に開始することを目指して、基盤の構築を進めているところだ。西俣董事長は、「中国のユーザー企業に当社のクラウドサービスの導入を決定してもらうために、サービスの“現物”(アプリケーション)を見てもらう必要がある」と判断して、あくまでもインフラ/プラットフォームである「IIJ GIO」の上に乗せる業務アプリケーションを用意する。
「まずは日本のSaaSベンダーと提携してアプリケーションを提供し、次のステップとして、中国のSaaSベンダーとも組んで、中国企業の業務内容に最適化したアプリケーションを提供したい」(西俣董事長)と、今後の方針を語る。IIJグローバル中国は、中国のアプリケーション開発事業者と提携の話を進めており、来年をめどに、アプリケーション提供の開始を目指している。
西俣董事長は、「地場パートナーは、中国で需要が高まっている『IIJ GIO』の再販によって競争力を増すとともに、『IIJ GIO』を基盤としてアプリケーションを開発・提供することによって、収益の高いビジネス展開を図ることができる」と、パートナーの利益の確保や競争力の向上を重視するビジネスモデルの展開を目指している。
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