その他
揺れ動く中国でのビジネスを考える 「代替品がない」ほどの商品力を目指せ
2012/10/18 21:03
週刊BCN 2012年10月15日vol.1452掲載
中国の政治は「時計の振り子」にたとえられる。経済政策である大躍進政策、政治闘争の文化大革命、経済再建のための改革開放、そして六四天安門事件と、まるで時計の振り子のように左右に大きく振れてきた。天安門事件以降は再び経済成長重視に舵を切ったが、近年、周期的に発生する政治的な反日デモや、「領土問題」に絡むかつてない強硬な姿勢は、中国の「振り子」が厳然と存在していることを印象づける。こうした建国以来の状況を誰よりも知るのは当の中国人であり、彼らからしてみれば、政治闘争はいわば中国にとっての「平常運転」という捉え方が多い。
改革開放後、日中は経済的結びつきを着実に強めてきたし、これを断ち切ることは不可能だ。大規模な反日感情の高まりは、往々にして日本製品の不買運動と連動し、日本企業の中国におけるビジネスに少なからぬインパクトを与える。一時的には中国ビジネスが停滞する危険性があるが、長い目でみれば、これも「平常運転」の域を出ないといえるのではないか。こうした中国特有のリスクを織り込んだうえでビジネスを展開する必要があるのは、今に始まった話ではない。
情報サービス産業に絞っていえば、中国に進出する日系ユーザー企業向けのビジネスに不透明感が漂うものの、本命である中国地場市場向けのビジネスへの影響は「限定的」(日系大手SIer幹部)とみる向きが多い。理由は簡単で、多くのSIerにとって、残念ながらグループ経営全体に打撃を与えるほど中国地場向けビジネスは大きくないからだ。不買運動の対象になるのも、自動車や家電、食品など、コンシューマに広く接点をもつ“知名度が高い”ものが大半で、日本の情報サービス業で、そこまで中国での知名度がある商材は限りなくゼロに近い。GoogleやAmazon、Facebookなどの世界で通用する商材があれば別だろうが、少なくともこの三つは中国では規制を受けてほとんど商売ができていないままだ。
ほかにも、例えば安い人件費目当ての従来型の単純組み立て工場は、人件費が年々高騰する中国ではもはや撤退の潮時。反日デモ参加者の一部が暴徒化して機械・設備を壊されるまでもなく、早晩、他の国へ移ることになるだろう。そうではなく、不買運動を起こされても売れる人気商品、入札規制をくらっても「このソフトは日本の○○会社ではなければ、他に代替がない」と、逆に向こうが困るくらいの商品力があれば、中国の代理店やビジネスパートナーは、必ずあの手この手で障害や規制をくぐり抜け、担ごうとしてくれるはずだ。厳しい現実だが、「振り子」のように揺れ動く激動の中国にあって、地場のビジネスパートナーがリスクを負ってもいいと思える競争力ある商品やサービスの創出こそが、今の日本のベンダーに求められている。(安藤章司)
中国の政治は「時計の振り子」にたとえられる。経済政策である大躍進政策、政治闘争の文化大革命、経済再建のための改革開放、そして六四天安門事件と、まるで時計の振り子のように左右に大きく振れてきた。天安門事件以降は再び経済成長重視に舵を切ったが、近年、周期的に発生する政治的な反日デモや、「領土問題」に絡むかつてない強硬な姿勢は、中国の「振り子」が厳然と存在していることを印象づける。こうした建国以来の状況を誰よりも知るのは当の中国人であり、彼らからしてみれば、政治闘争はいわば中国にとっての「平常運転」という捉え方が多い。
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