日商エレクトロニクスグループでデータセンター(DC)事業の拡大をミッションに掲げているエヌシーアイ(NCI)で、リーダーとして、DCサービスの営業に携わる戦略営業本部・戦略営業部の寒川貴志さん。グループの最重要クライアントを含めた有力企業を担当しており、相手に納得してもらえる提案を心がけて、DCサービス活用のメリットを訴えている。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
[語る人]
●profile..........寒川 貴志(かんがわ たかし)
大学卒業後、IT関連の上場企業に入社。ITサービスの販売を担当する営業部に配属され、営業の基礎を学ぶ。その2年後、ネットエンズ(現エヌシーアイ)の社員から自分が勤める会社の様子を聞いて、ベンチャー企業のような社風でいろいろなことにチャレンジできる可能性を感じて、転職を決めた。現在の会社に入社して12年目に入り、戦略営業本部・戦略営業部のリーダーを務めている。
●会社概要.......... ICT事業を手がける日商エレクトロニクスのグループ会社で、データセンター/クラウドを中心とするサービスを展開。「ネットエンズ」「インフォリスクマネージ」などと社名を変更し、今年9月から現社名。従業員数は140人。
●所属..........戦略営業本部
戦略営業部
リーダー
●営業実績.......... 戦略営業本部・戦略営業部のリーダーを務め、日商エレクトロニクスグループの最重要クライアントを担当。サービス事業の実績を着実に伸ばしている。
●仕事.......... システムインテグレータ(SIer)など、日商エレクトロニクスグループのパートナーに向けて、システム運用やクラウド運用代行といったサービスを提案する。かつては客先に常駐し、一緒にサービスを開発する業務に携わったが、現在はデータセンター事業の拡大をミッションとして、新規提案の活動に力を注いでいる。
顧客に導入決定の判断材料を提供
「キミがつくった提案書には、ストーリーがない。お客様のビジネスを具体的にどういうふうに改善しようとしているかというメッセージがさっぱり伝わってこない」──。
11年前、入社間もない頃に、当時の社長に叱られた言葉を鮮明に覚えている。今の会社には中途採用で入社し、前の勤務先で積んだ営業経験を生かそうとして提案活動に励んだが、実のところ、提案書を自分の手でつくるノウハウなど、ほとんどもっていなかった。だから、雑な提案書しか書けなくて、商談がうまく運ばなかったように思う。当時の社長は、社員の育成に熱心で面倒見がよく、新入社員にもどんどん声をかけてくれる人だった。私が提案書づくりを苦手にしていることを見抜いて、深夜までつき合いながら、ダメ出しをしてくれた。会社の一番偉い人に弱点を指摘されて、私は何回も何回も資料をつくり直すことになって……。ものすごく大変だった。しかし、苦労して作成した資料を持って、翌日、社長と一緒にお客様のところを訪問してプレゼンテーションした後、「非常にいいプレゼンだった。よくできた」と、うれしい言葉をかけてもらった。社長のレクチャーのおかげで、商談の相手に納得してもらいやすい提案書をつくることにこだわるようになり、入社12年目の現在も、教えてもらったことを営業の現場で生かしている。
この9月にエヌシーアイに社名変更した当社は、データセンター(DC)業界では後発なので、同業他社に一日も早く追いつこうと、事業の拡大に取り組んでいる。私たち営業担当者が販売する商材は、システム運用といった「サービス」なので、お客様に実物を見せて説明できるものではない。目に見えないサービスだからこそ、提案する際は、訴えたい内容をわかりやすく伝え、使う側の立場に立って活用シーンを具体的に描きながら、導入を決断するための材料をつくってさしあげることがポイントとなる。私は、今は自分が後輩にアドバイスする立場だが、その昔、社長に教わったように、「自分の家族にも伝わるくらい、わかりやすい提案を目指せ」ということを、後輩たちにも教えている。
私は、お客様との長いつき合いを通じて、ともに成長することを重視している。そう思うようになったのには、きっかけがある。入社3年目、クライアントに常駐して、お客様と緊密な関係ができていた頃の話だ。常駐している間、私はマネージャーに昇格し、そのことをお客様に話した。すると、客先の方たちが自分のことのように喜んでくれたのだ。同じ仲間として認めてもらったことが、うれしくて仕方がなかった。それ以来、お客様と深い関係を築くことを心がけている。(つづく)