スーパーストリーム(谷本善男社長)は、12月11日、セミナー「グローバル競争時代を勝ち抜く“日本版ERP”の未来像」を東京都内で開催した。『週刊BCN』の谷畑良胤編集委員が基調講演に登壇し、スーパーストリームの山田誠・マーケティング企画部部長のほか、パートナー企業であるディーバと東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の担当者が日本企業のグローバル化とそれぞれの製品について語った。(取材・文/信澤健太)
グローバル対応は必要不可欠
規模の大小を問わず、日本企業はグローバル市場への進出を加速している。同時に、業務システムをグローバルで利用できる仕様にする必要に迫られている。スーパーストリームの大江由起夫専務取締役の挨拶に続き、基調講演に登壇した『週刊BCN』の谷畑編集委員は、「ERPのグローバル化は待ったなし! ~クラウド提供が選択肢として急浮上~」と題して、グローバル対応の業務システムの市場性や今後の方向性について説明した。

セミナー開催の挨拶に立ったスーパーストリーム大江由起夫専務取締役 谷畑編集委員は、国内IT市場を取り巻く環境を整理するうえで、クラウド、大震災、生産性、スマートデバイス、海外を挙げた。

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谷畑良胤 編集委員 なかでも大震災については、IDC Japanの調査データを引いて、「プライベートクラウドによるシステム構築」と「パブリッククラウドによるシステム構築」の意識が震災後に高まったことを指摘。2013年以降、クラウドが急成長する兆しがあるとした。谷畑編集委員は、クラウドビジネスを語る際にはビッグデータの重要性を挙げて、「ERPと非構造化データの組み合わせで新しいビジネスが生まれる」と示唆した。また、2012年は日中関係の摩擦を受けて事業の見直しを検討する企業がみられたが、「工場は中国以外に拠点を設ける動きがあるものの、マーケットとしてみているサービス業などは中国をこれまでと同じように重要と捉えている」と見解を述べた。
また、ERP研究推進フォーラムの調査を引用して、国内ERP市場は導入率が34.8%、市場全体で、ERPの導入目的を「グローバルシステム構築の必要性」とする企業は21.8%、海外拠点でのシステム化の目的は「海外拠点の経営状況の迅速・正確な把握」が約70%を占めることを説明した。
国産ならではの強みを前面に出す
スーパーストリームの山田部長は、「日本企業のグローバル化を推進する会計システムとは? ~国内外のグループ全体の会計データ集約化と可視化~」をテーマとして、「SuperStream-NX」のグローバル導入事例やクラウド事例などを交えながら、ソリューションについて紹介。グローバルで利用する会計システムに求められる要件として、統一プラットフォームをはじめ、グループ全体の経営管理、正確な経営KPIの把握・分析、変化に即応できる仕組みを挙げながら、「『SuperStream』ならすべてに答えを用意している」とした。
「SuperStream」は、1995年6月の発売以来、国内の中堅企業を中心に累計6700社以上の企業が導入してきた会計、人事給与システム。「最も多いのが製造業で、最近はサービスや外食産業などでも導入が進んでいる。製品強化にあたって国産ならではのよさを出して、引き続き多くの顧客に利用してもらうシステムを提供していく」(山田部長)。オンプレミス型とSaaS型の選択肢を用意しており、日本本社はオンプレミスで、海外現地法人はSaaSを利用するケースが多い。
特徴としては、管理会計をサポートするセグメント機能や一般会計・支払い管理、債務管理などを横断したトレーシング機能などを実装。グループ経営管理モジュールを導入することで、蓄積された管理会計データをモニタリングして経営の意思決定に役立てることができることをアピールした。
ディーバの寺島鉄兵・営業本部営業部長兼マーケティング室長は、今後のグループ経営管理システム検討のためのヒントなどを提示。同社は、連結会計システムとグループ統合元帳システムの活用というトレンドに応じて「DivaSystem」「DivaSystem GEXSUS」を用意している。寺島室長は、「グループ企業から収集したデータは、自動処理による制度連結決算とともに、セグメント別、製品別などの切り口での管理連結ができる」と話した。
グローバル経営管理システム実現の実務上の最重要ポイントとして、グループ企業からのデータ収集を挙げ、システム連係の投資余力がないグループ企業では簡易な報告ツールを用意していることを強調した。
B-EN-Gの小磯芳雄・プロダクト事業本部営業本部シニアコンサルタントは、グローバル競争を勝ち抜くために経営の最重要課題になっているという価格戦略と「グローバル損益管理ソリューション」について紹介。グループ全体最適を実現する価格戦略は、連結原価情報を正しく把握することによって初めて成功すると指摘した。
2013年に「MCFrameXA 経営管理」を投入し、製造業のグローバル経営をサポートする。製品別、原価費目別、子会社別、製造拠点別、構成品目別、取引通貨別の六つの粒度でグローバル連結原価を見える化することをアピールした。小磯シニアコンサルタントは、「まずは連結原価機能を提供し、順次製品別のキャッシュフロー分析や機会損失視点での分析ができる機能などを加える」と説明した。