最新技術を搭載した製品・サービスを体験することができるショールームのNECクラサバ市場秋葉原店が、販社やユーザー企業にとって有益な情報を収集できる場として定着しつつある。気軽に訪れて、NECのクラウド関連製品やプラットフォーム関連製品をベースに、IT業界で話題になっている分野を店のスタッフから聞けるほか、定期的に開催している講座でNECの技術者や開発者と議論を交わして情報を収集することもできる。現在はビッグデータ関連の製品・サービス展示を充実させている同店の状況を追った。(取材・文/佐相彰彦)
好評を博した「ビッグデータ市場」
新店長就任で再スタートを切る

2012年10月に就任した
中島泰宏店長 クラサバ市場秋葉原店は、現在、ビッグデータ市場秋葉原店として展開している。もともとは2012年8月17日から9月20日までの約1か月間の期間限定でビッグデータをテーマにする最先端技術のデモを披露していたが、来店者から好評を得たため、12年10月1日から13年3月23日までの期間で再度展開することになった。
ビッグデータ市場秋葉原店として模様替えをしたことに加えて新店長が就任。プラットフォームマーケティング本部シニアエキスパートの中島泰宏氏が務めている。クラサバ市場秋葉原店について、「秋葉原電気街に店を構えているという立地特性から、個人事業主で技術に強い来店者が多い傾向にある」という。ユーザー企業が抱える悩みなど現場の声を収集できることからも、「製品の横断的なマーケテイングという、これまで培ってきたノウハウを生かして、来店者に対して最適なソリューションを提案することに力を注いでいる」としている。
店内では、1階でビッグデータ関連の製品・サービスを展示。「顔認証技術活用マーケティングサービス」のデモでは、店の出入口近くに設置したカメラ映像で、来店者の年齢や性別を自動推定してリピート顧客を検出している。実際のデータをもとに分析しているので、来店者が興味を示している。ネットワークを利用してコンピュータの構成を拡張できる技術の「ExpEther(エクスプレスイーサ)」を搭載した製品によるデモも実施。システム拡張や性能向上の際、サーバーやワークステーションを追加せずにI/O拡張ユニットや専用クライアントで、CPUやHDD、GPUなどの必要なコンピュータ資源のみを追加することができることをアピールしている。

店内では実際の来店者の数をもとに顔認証技術活用マーケティングサービスによるリピート率の分析デモを実施
講座を定期的に実施
SE同士が議論を交わす
また、同店ではNECの技術者や開発者などが講師となり、ユーザー企業や販社を対象として「NECプラット秋葉原講座」を隔週金曜日に開催している。毎回5人など、定員を少人数にして、一つのテーマをもとに、NEC側から単に製品を説明するのではなく参加者からも質問しやすい雰囲気にして議論を交わしているという。中島店長は、「現場の若いSEを講師に据えるようにしている。当社のSEと参加者が情報を交換して現場の問題を解決できる場になっている」と自信をみせる。12年4月から9月までの6か月間で56人が参加。10月以降は13年1月の時点で27人が参加した。1月は、高可用性クラスタリングソフト「CLUSTERPRO」に関する講座のほか、NECの府中事業所と秋葉原間で遠隔クラスタのデモも実施した。

ExpEtherクライアントでLANを介してコンピュータ本体と同様のリソースを増設できる

セミナーでは「クラスタプロ」による遠隔二重化を披露することも
クラスタ市場秋葉原店は、ユーザー企業や販社とのコミュニケーションを向上する場として定着しつつある。中島店長は、「今後は、販売パートナーが提供しているソリューションの展示も検討したい」との考えを示している。クラサバ市場秋葉原店を通じて、NECが現場の生の声を吸い上げてニーズに適した製品を開発し、販社は情報交換によるビジネスチャンスを拡大、ユーザー企業は最適な製品・サービスを導入できるという三者にメリットをもたらすサイクルが構築できることに期待がかかる。