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日本マイクロソフトのタブレット端末「Surface」 法人展開で味方がライバルに変わる
2013/03/28 21:03
週刊BCN 2013年03月25日vol.1474掲載
日本マイクロソフトは、3月15日、自社ブランドとして初のタブレット端末「Surface RT」を発売した。Surface RTは、4万9800円からという価格で、WordとExcel、PowerPoint、OneNoteを標準搭載。日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「Windows陣営を盛り上げるための製品」と位置づけた。
Surface RTは、2012年10月26日のWindows 8の発売に合わせて、主要国では日本よりも5か月前に発売されていた。Surfaceの事業は、米国本社が主導権を握って展開。中国向けにも英語版キーボードだけが用意されるという異例のかたちで発売されたが、日本では日本語版キーボードを用意し、営業とマーケティング、保守などにも日本法人が深く関わり、他国とは一線を画している。一部には「日本のパソコンメーカーに配慮して発売時期を遅らせた」と報道したメディアもあったが、実は周到な準備のうえで日本に上陸した結果が5か月の差となったのだ。正式発表前のティザー広告を、Apple Store銀座の向かいにある百貨店、松屋銀座の壁面に大きく表示するなど、その手法もしたたかである。
だが、Surface RTは、マイクロソフトの最初の一手でしかない。Surface RTは、ARM版CPUに対応したWindows RTを採用している。Windows 8と同じインターフェースを採用していながらもx86アプリが動作せず、Active Directoryにも対応していない。つまり、ビジネス用途には不向きな点が多いのだ。Surface RTは、法人ルートでは展開しておらず、量販店でもビックカメラグループ、ヤマダ電機グループ、ヨドバシカメラの約1000店舗に限定したのは、学生などのコンシューマを狙ったからだ。
Surfaceは、もう一つ、Intel Core i5とWindows 8を搭載した法人にも最適なモデル「Surface Pro」があり、すでに米国、カナダでは2月に発売している。樋口社長は「Surface Proの投入は、その時期が来たときに話したい」と明言を避けるが、国内への投入計画があるのは関係者の発言で明白だ。「将来は法人ルートでの販売も視野に入れる」と樋口社長は明かすが、これもSurface Proの展開を前提にしたものだといえる。
Surface RTは、国内全出荷台数の半数以上を占める法人ルートを避け、量販店ルートも約6割に限定しているが、Surface Proの投入時には、これらの制限を撤廃することになるだろう。米マイクロソフトでMicrosoft Surfaceを担当するブライアン・ホール ジェネラルマネージャーは、「Surface Proは、世の中に出ているWindowsパソコンと競合できなくてはならない製品だと考えている」と語る。
Surface Pro発売の時こそが本番である。パソコンメーカーにとっての味方がライバルに変わる瞬間は間もなく訪れる。(フリーランスジャーナリスト 大河原克行)
日本マイクロソフトは、3月15日、自社ブランドとして初のタブレット端末「Surface RT」を発売した。Surface RTは、4万9800円からという価格で、WordとExcel、PowerPoint、OneNoteを標準搭載。日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「Windows陣営を盛り上げるための製品」と位置づけた。
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