NECビッグローブグループでネット通販などのポイント交換サービスを手がけるジー・プランは、ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトの「Yellowfin」を採用した。顧客動向の分析には、これまで市販のデータベース(DB)ソフトに手を加えて利用していたが、「ビジネスの変化に対応できなくなった」(ジー・プランの岡田顯マーケティング・コミュニケーション部長)ことから、変化の速いネットビジネスに適応でき、的確なマーケティング情報を得るためのツールとして「Yellowfin」を選択した。
ユーザー企業:ジー・プラン
NECビッグローブのグループ会社であるジー・プランは、自ら発行する「Gポイント」を媒介として、ネット通販やネットサービス会社などが発行するポイントを交換するサービスを展開している。
プロダクト提供会社:京セラ丸善システムインテグレーション
プロダクト名:ビジネスインテリジェンス「Yellowfin」
【課題と決断】「お手製BI」では変化適応は困難
ジー・プランは、ポイント交換サイト「Gポイント」を運営している。ネット通販などで貯まるポイントを「Gポイント」に交換し、「全国百貨店共通商品券」のようなかたちで提携先のネット通販やネットサービス会社で使えるようにする仕組みだ。ジー・プランは、より多くのユーザーに利用してもらうことを目的として、ポイント交換に訪れるユーザー動向を調べるのに、これまで市販のデータベース(DB)ソフトに手を加えて使っていた。しかし、変化が激しいネットビジネスの動きへの対応が難しいだけでなく、手を加えすぎて複雑怪奇なものになったDBソフトを使いこなせる人員が限られてくることも課題だった。
そこで、同社はユーザー動向などのマーケティング情報を効率よく分析できるツールを探し始めた。折しも、2012年4月に全社のマーケティング力を強化する目的で、マーケティングの専任部門を開設したところだった。これを機に、本格的にビジネスインテリジェンス(BI)の選定に着手した。重視したのは、価格がこなれていることと、データ分析の専門家ではない一般の営業マンや、ポイント交換で提携しているネット通販・ネットサービス会社などの社外のビジネスパートナーが気軽に活用できることだった。
一般の営業マンが社外からスマートデバイスなどのモバイルを使って簡単に分析データを参照でき、社外のビジネスパートナーともユーザー動向を共有できるBIに絞り込んだところ、「Yellowfin」にたどり着いた。「Yellowfin」は、現場の営業マンが手持ちのモバイルでBIを活用できることから、通称“モバイルBI”と呼ばれるほどのソフトだ。この利便性に魅力を感じたジー・プランは、採用を決断した。

左からジー・プランの森本典之氏、佐伯亮一チームリーダー、岡田顯部長、京セラ丸善SIの徳田真奈美グループ長
【効果】開発元と密接連携したSIが強み
しかし、導入は決してスムーズではなかった。「Yellowfin」を試験導入したとき、「想定した処理速度が出ない」(ジー・プランの佐伯亮一・アジャイル開発チームリーダー)という問題が発生。日本での「Yellowfin」の販売・サポートを担当し、今回のプロジェクトのSIを行った京セラ丸善システムインテグレーション(京セラ丸善SI)は、即座に対応した。動作が遅い従来のHDDではなく、処理速度が格段に速いメモリ上でDBを稼働させるインメモリDBと、複数の情報を一括して処理するトランザクション方式への切り替えを提案したのだ。これで大幅に改善を果たし、2013年5月、本稼働にこぎ着けることができた。
京セラ丸善SIの徳田真奈美・PKGソリューション部ITサービスグループ長は「Yellowfinの実装に関しては国内で最も多くの経験を蓄積している。どうしても日本のユーザーの業務と馴染まないところがあれば、グレンさん(Yellowfin本社社長のグレン・ラビーCEO)と相談しながら解決する」と、きっぱり言い切る。SI実績とYellowfin開発元でオーストラリアのソフト開発会社Yellowfin社との密接で太いパイプをもっていることを強みとしているのだ。
ジー・プランは、ポイント交換の提携先ネット通販やネットサービス会社、広告代理店など数多くのビジネスパートナーと協業することで成り立つビジネスモデルである。ユーザー動向の分析は、従来は紙に印刷するなどして、そのつど営業が持参していたが、将来は「Yellowfinで分析した情報を段階的にパートナーと共有していく」(マーケティングチームの森本典之氏)ことも視野に入れる。これによって、パートナーとの協業をより密にし、ビジネス拡大に役立てていく方針だ。(安藤章司)
3つのpoint
社内外で高度なBI分析データを活用できる
営業マンが外出先からモバイルでBIを参照
開発元と太いパイプをもつSIerがSIを担う