NTTデータ イントラマート(中山義人社長)が展開するシステム構築基盤「intra-mart」は、2800社を超える導入実績がある。2012年10月にリリースした最新バージョン「intra-mart Accel Platform」も、新規ユーザーを中心に、すでに約300社に納入しており、案件数は前年度比140%以上、案件単価も130%近い伸びを示している。昨年は、「intra-mart Accel Platform」をPaaSとするクラウドサービス「Accel-Mart」をリリースしたほか、「intra-mart Accel Platform」上で動くアプリケーションの品揃えも充実させた。「intra-mart Accel Platform」ビジネスの現状と今後の施策について、中山社長に詳細をうかがった。(取材・文/本多和幸)
BPM機能の強化が導入の決め手に

中山義人 社長 ──最新のシステム構築基盤である「intra-mart Accel Platform」が好調だ。何が評価されているのか? 中山 これまでばらばらに使っていた複数のアプリケーションを、共通のシステム基盤に乗せて、統合的に使いたいと考えているエンドユーザーが多い。「intra-mart」はもともとそれに応える商材だったわけだが、最新の「intra-mart Accel Platform」については、ビジネスオペレーション層、つまり、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)/ワークフローの機能強化にとくに力を入れた。もともと当社はワークフロー製品で国内シェア1位だが、そのノウハウを生かして、単純な申請・承認だけでなく、業務プロセスまでを対象にして効率化を図ることができるような機能を付加した。そうした特徴をご理解いただき、業務プロセスの可視化と効率化を進めるために、システム基盤として「intra-mart Accel Platform」を導入するユーザーが増えており、売り上げをけん引している。
さらに、基盤のバージョンアップという概念をなくしたことも、使いやすさにつながっている。これまでは、基盤をバージョンアップするごとに、そこに乗せているアプリケーションもきちんと動くか検証し直さなければならず、非常に手間がかかっていた。今後は、バージョンアップではなく、エンハンスド・モジュールで基盤に必要な機能をつけ足していくかたちになるので、アプリケーションはずっとそのまま使い続けることができる。
──PaaSとしての活用も広がっている。 中山 例えば、アマゾンウェブサービス(AWS)をIaaSに、「intra-mart Accel Platform」をPaaSにして、社内のアプリケーションを統合的に使うユーザーは増えているし、今後も増えるだろう。もちろん、既存のオンプレミスシステムを含めたハイブリッドクラウドでの利用も可能だ。
SIerに求められるのはコンサルティング
──アプリケーションのラインアップは? 中山 基盤の提供が先行しており、ようやく、グループウェア、文書管理、旅費・経費精算の三つが揃ったところだ。グループウェアは自前だが、ドキュメント管理は富士ゼロックス、旅費・経費精算はスミセイ情報システムとの協業で整備していて、こうしたパートナーと積極的に提携しながらラインアップを拡充していく。タレントマネジメントやSFAなど、早期に10製品は揃えたい。
前バージョンの「intra-mart」用にも、開発パートナーのアプリケーションが60製品くらいラインアップされていたが、「intra-mart Accel Platform」については、より厳密なガイドラインをつくって、どれを選んでも違和感なく統合的に使える、質の高いアプリケーションを整備していく。
また、今年9月には、NTTデータビズインテグラルのERP「Biz∫」も「intra-mart Accel Platform」に対応する。基幹系から情報系まで、アプリケーションを一気通貫で最新基盤に乗せて使うことができるようになって、ユーザーのニーズにより幅広く応えられるだろう。現在、基盤とアプリケーションの売り上げは8対2の割合だが、向こう3年でこれを同じくらいの規模にしたい。
──SIerなど、パートナーのビジネスも変わっていきそうだが……。 中山 現在、セールスパートナーは120社、開発パートナーも含めると200社規模のパートナー網を構築しているが、当然、彼らのビジネスも変化せざるを得ないだろう。
大規模なユーザーはカスタマイズも多くなるが、新しい基盤ではそのつくり込みの手法が変わってきている。ドラッグ・アンド・ドロップで画面設計ができるようになっていて、ユーザーが内製でカスタマイズできる範囲が広くなった。SIerの仕事は、本当に細かいカスタマイズのプログラムをJavaで書いたりという仕事に限定されるケースも出てきている。これは、IT産業全体の傾向で、クラウド化が進むほどその傾向は顕著になるだろう。
これからのSIerには、システムのつくり込みに比重を置くのではなく、ユーザーの業務プロセスを解析して、コンサルティングに近い上流工程にシフトしていくことが求められるだろう。得意な業種・業界のノウハウを生かして、それを「intra-mart Accel Platform」にプロットしてソリューション提案をしているパートナーも出てきているが、そういうパートナーは技術の習得も早い。
2015年3月期は、新しいパートナープログラムを体系化して、パートナーの変革も支援していく。具体的には、当社のリソースを拡充して、業務・業種に踏み込んで、アプリケーションの組み合わせなどを助言できる体制を整備する予定だ。