ICT(情報通信技術)構築を手がける日商エレクトロニクス(河村八弘社長)は、米プルリバス ネットワークス(プルリバス)製品の販売に力を入れる。今年2月、サーバーとスイッチを統合し、ソフトウェアによるネットワーク構築の基盤として活用することができる「Pluribus Freedom F64/E68」を発売した。国内で唯一の販売店として、データセンター(DC)事業会社やウェブコンテンツプロバイダに提供していく。同社は、世界のDCのうち、15%が日本にあるとみて、彼らに対してマルチベンダー・マルチテナント環境下でスピーディで安定したネットワークをつくることができることを訴求し、プルリバス製品の拡販につなげる。(取材・文/ゼンフ ミシャ)
SDN導入時の課題を解決

日商エレクトロニクス
坂田義和
エバンジェリスト クラウドの普及が進むなかにあって、DC事業会社は、構築コストを抑えつつ、柔軟に拡張することができるネットワークづくりに取り組んでいる。多くのDC事業会社が検討しているのは、ソフトウェアによるネットワークの構築だ。このところ、通信機器の設定などをソフトウェアで一括制御する「Software Defined Network(SDN)」の技術を活用して、拡張性にすぐれたネットワークを設計しようとする動きが活発になりつつある。
しかし、SDN導入の検討にあたって、思ったような性能が出なかったり、管理が複雑化したりするなど、課題にぶつかるケースが多いようだ。
米国ITベンチャー企業の製品を担ぎ、他社に先駆けて国内で展開することを強みとする日商エレクトロニクスは、SDN導入時に問題が発生するケースが多いことを商機と捉えて、これを解決することができるプルリバス製品に着眼した。プルリバスと国内初の販売代理店契約を結び、今年2月に、サーバーとスイッチの垂直統合型製品である「Pluribus Freedom F64/E68」の発売にこぎ着けた。
「すでに数件の案件が動いている」(日商エレクトロニクス マーケティング本部第一マーケティング部第二グループの坂田義和エバンジェリスト)という状況で、順調なスタートを切った模様だ。
来年度は20社に納入

プルリバス
ネットワークス
ナイル・キング
アジアパシフィック
営業副社長 「Pluribus Freedom F64/E68」は、独自のアーキテクチャを採用し、L2/L3スイッチ機能に加えて、コンピューティング、ストレージ、ネットワークを提供する。SDNの概念に似た「NFV(Network Functions Virtualization=ネットワーク機能仮想化)」に対応し、次世代DCネットワークを構築するための基盤として活用することができる。垂直統合型なので、ネットワーク部隊とサーバー部隊の管理作業を統一することによって、ネットワーク運用を容易にし、高い性能を発揮する。DC事業会社をはじめ、コンテンツプロバイダや研究機関など、大規模なネットワークを運営するユーザーを主なターゲットにしている。
米国シリコンバレーのパロアルトに本社を置くプルリバスは、日商エレクトロニクスを売り手として、日本市場の開拓に取り組む。「世界のDCの15%が日本にあるので、市場のポテンシャルは大きい」(プルリバス アジアパシフィック営業副社長のナイル・キング氏)とにらみ、日商エレクトロニクスと密に連携することによって、案件の獲得に動いていく。
プルリバス製品を販売する第一フェーズで、「来年度(2015年3月期)に約20社に導入し、およそ2億円の売り上げを目指す」(日商エレクトロニクスの坂田エバンジェリスト)という目標を掲げている。