NECグループのICT(情報通信技術)ベンダーであるNECネッツエスアイ(和田雅夫社長)の社内には、従来、140台ものファイルサーバーが乱立し、各部門の担当者が管理にあたっていた。そのため、全社で管理レベルが統一されておらず、担当者に管理の負担がのしかかっていた。そこで、IT部門の経営システム本部は、2008年頃からファイルサーバーの集約に着手。4年越しでプロジェクトを推進して、要件を満たすIT環境の構築にこぎつけた。
【今回の事例内容】
<導入企業> NECネッツエスアイネットワークを中核とするシステムの企画・コンサルティングや設計・構築、保守・運用や監視サービス、アウトソーシングサービスなどを手がけている
<決断した人> 経営システム本部ICTインフラ部の青木康恭氏(左)と経営システム本部の平見昌彦ストレージサービス担当部長およそ4年間にわたって、ファイルサーバーの集約プロジェクトの実務を担当した
<課題>乱立するファイルサーバーを各部門の担当者が管理していて、手間とコストがかかっていた
<対策>「SharePoint」を導入し、UIのカスタム開発を行ったうえ、自動化ツールを活用した
<効果>ファイル管理の手間を軽減するとともに、ユーザーの利便性を向上した
<今回の事例から学ぶポイント>自らが最先端のIT技術を実践してこそ、真のITベンダーといえる
“箱”を変えるだけでは無意味
NECネッツエスアイは、ネットワークを中核とするシステムの企画・コンサルティングや設計・構築のほか、国内にある約400のサポートサービス拠点で保守・運用や監視サービス、アウトソーシングサービスを提供している。
最先端のIT技術を売りとする同社だが、社内のIT環境には、非効率な部分が残っていた。各拠点に合計で約140台のファイルサーバーが乱立しており、各部門の担当者が管理にあたっていたのだ。
経営システム本部ICTインフラ部の青木康恭氏は、「担当者には、毎月のセキュリティパッチの更新など、管理の負担がかかっていたし、各拠点に設置していたので、電力コストもかさんでいた」と当時を振り返る。そこで経営システム本部では、2008年にファイルサーバーをデータセンター(DC)に集約し、台数を76台までに削減した。しかし、経営システム本部ストレージサービス担当部長の平見昌彦氏は、「台数はまだまだ多くて、管理担当者の負担は従来と変わらない状況。さらに集約を進めて、経営システム本部が管理を引き受けることを検討した」という。
平見氏と青木氏が、最初に検討した方法は、ファイルサーバーの台数を削減するために大規模なNASに乗り換えるというものだった。しかし、経営システム本部の上長にこれを提案すると、「それではファイルを保管する“箱”が変わるだけだ。今あるファイルサーバーがゴミ箱と化してしまう」と鋭い指摘を受けた。ファイルの保管先を変えて、管理業務を担当者から経営システム本部に移すだけでは、管理手法が確立されたとはいえない。平見氏は、「IT部門として、新たな付加価値を提供するという発想が欠けていたことに気づいた。上長からケツを叩かれた気がしましたね」と振り返る。
そこで平見氏と青木氏は、次にファイルサーバー内のコンテンツの一元管理を実現する情報基盤として、ミドルウェアを導入することを検討。「全社を統一してアクセス権限が管理できることや、ファイルのコンテンツのライフサイクルを管理できること、ユーザーの利用状況を見える化できることという3本を柱に立てて、76項目の要件を策定した」(平見氏)。
人手では必ず誤操作が起こる
コンテンツを管理するためのミドルウェアとして、平見氏と青木氏は、3種類の製品を検討。このうち、社内で利用率が高いOfficeファイルとの親和性が高く、エクスプローラにアクセスできるという理由で、2011年に「Microsoft SharePoint Server 2010」の採用を決めた。
しかし、NECネッツエスアイが保有するファイルサーバーは76台。保管するファイルの量も膨大だ。平見氏は、「『SharePoint』単体だと、ファイルを登録できるキャパシティが、想定より小さいことがわかり、大容量で実現する方法を探す必要が出てきた」という。セミナーに通ったり、インターネットで検索したりと、情報収集に苦労したそうだ。
最終的に平見氏と青木氏が見出した答えは、AvePoint Japanが提供する管理ソフト「DocAve ソフトウェア プラットフォーム」の活用だ。青木氏は、「『DocAve ソフトウェア プラットフォーム』を使えば、ファイルのバイナリを外部のNAS上に置くことで、キャパシティとパフォーマンスを担保できることがわかった」と説明する。そして、12年5月に「SharePoint」の本格稼働にこぎつけた。
その後、経営システム本部では、ユーザーの利便性のさらなる向上を目的に、UIのカスタム開発を行ったほか、組織変更・人事異動に伴うサイト・コンテンツの移動や作成処理、ストレージの使用容量の可視化とレポートの自動化を実現している。平見氏は、「最初は、『SharePoint』の機能をフル活用することを考えた。しかし上長から、『人が操作をすると必ずミスが起きる。IT部門は、サービスの品質を担保する必要がある』と釘を刺され、本稼働前から運用の自動化ツールの活用を検討していた」という。NECネッツエスアイは、契約社員を含めて従業員数が約8000人に及ぶ。四半期に一度、必ず人事異動や組織変更が発生する。これを、いちいち経営システム本部が設定・更新していては、手間がかかるし、変動の幅が大きければ、誤操作の可能性も高まるというわけだ。そこで、自動化ツールとしてAvePoint Japanの「DocAve Governance Automation(GA+)」を導入。人事異動・組織変更の反映にかかる時間を、従来の1~2日から、たったの10分にまで短縮できた。
およそ4年をかけて、情報を一元管理する基盤を構築したNECネッツエスアイ。平見氏は、「最初に立てた76の要件のうち、およそ9割を達成できた」と成果を語った。(真鍋武)