日立製作所(日立、東原敏昭社長兼COO)は、プラットフォーム製品のアライアンス、プロモーション、ソリューションの拡大などで、年間を通じて実績を上げたパートナー企業を表彰する「日立プラットフォーム テクニカルアワード 2014」を開催した。今回のアワードでは、31組のパートナー企業を称えた。また、クラウドやデスクトップ仮想化、ビッグデータに関連する市場の拡大が予想されるなか、ミドルウェアをはじめ、サーバーやストレージ、ネットワークなど、日立製作所の製品を使って実現できる世界をパートナー企業に訴えた。(取材・文/佐相彰彦)
三つの成長分野に焦点を合わせる

中野俊夫
事業主管 「日立プラットフォーム テクニカルアワード」は、昨年まで「日立オープンミドルウェア テクニカルアワード」という名称で、統合管理運用ツール「JP1」など主に日立製ミドルウェアを販売するパートナーを表彰するイベントだった。しかし、ミドルウェアだけでなく、サーバーやストレージ、ネットワークなど、さまざまな角度からビジネスを手がけていく必要があることから、今回からは対象製品を広げて名称を変更したという経緯がある。
情報・通信システム社の中野俊夫・ITプラットフォーム事業本部事業統括本部事業主管は、「当社は、『ビッグデータ』『クラウドプラットフォームサービス』『統合プラットフォーム』の三つを成長分野と捉えて、事業ポートフォリオの拡大を進めている。そのため、パートナー企業との協業領域が広がっている」という。調査会社のIDC Japanによれば、国内でビッグデータ市場が年率35%以上で成長しているほか、プライベートクラウド市場が2013年の時点で前年比43.9%増の見込みと市場規模が拡大している。中野事業主管は、「このような市場環境から、今年は当社の製品が大きく飛躍する年になる」とアピールする。
「日立プラットフォーム テクニカルアワード 2014」では、ビジネス拡大に向けたアライアンスを進めたベンダーを称える「アライアンス賞」、ソリューション拡大に力を注いだ「ソリューション拡大貢献賞」、積極的にプロモーションを行った「プロモーション貢献賞」、技術者育成や製品技術の革新などに貢献した「特別賞」などを用意した。その結果、SIerを中心として31組が受賞することになった。
情報交換や議論ができる場を提供
「日立プラットフォーム テクニカルアワード」は、パートナー企業の実績を表彰することを目的としているが、「パートナー企業が一堂に会し、さまざまな情報を交換できる場を提供するという意味合いもある」という。日立が「ビッグデータ」「クラウド」「統合プラットフォーム」など成長分野で事業を拡大するには、同社のミドルウェアやサーバー、ストレージ、ネットワークを組み合わせて提供する必要がある。しかし、日立の製品を1アイテムだけ販売しているパートナー企業も存在する。中野事業主管は、「すべてのパートナー企業が当社のプラットフォーム関連製品をすべて販売してくれれば非常にありがたいが、(ほかのメーカーとの兼ね合いもあり)実際には難しいだろう。そこで、パートナー企業同士が自社の強みを生かしてアライアンスを組むようにするのが最適な策だと考えている」という。パートナー企業同士の連携が活発になれば、成長分野での事業ポートフォリオの拡大につながると判断しているわけだ。
パートナー企業を対象としたイベントとして、今秋には「日立イノベーションフォーラム 2014」の開催を予定している。また、今後は話題の事業分野をテーマにした分科会の実施などで、「パートナー企業が自由に議論できる場の提供を模索していきたい」との考えを示している。
日立は、パートナー企業への支援を強化することによって、事業領域の拡大を図っていく方針だ。