アマゾン ウェブ サービスジャパン(AWS、長崎忠雄社長)は、学生を対象とした教育プログラムの本格的な浸透を図る。日本におけるIT人材不足が今後ますます深刻化するといわれる中で、クラウドサービスのトップベンダーとしてIT人材の育成に貢献する。AWSのエコシステムに若年層を幅広く取り込むことでビジネス基盤をさらに強固にする効果も期待できそうだ。

 
長崎忠雄
社長
同社が高等教育機関向けに提供する学習支援プログラムが「AWS Academy」だ。高等教育機関で学生がAWSのクラウド製品・サービスに関する知識やスキルを学ぶ環境をつくるプログラムといえる。AWS Academyメンバーになるために申請を行った教育機関は、学生に対するAWSの教育を担当する教員を2人選定する。選定された教員は、座学形式の授業を受けた上で必要な認定試験に合格し、AWSの技術審査員に対するプレゼンを行うなどのプロセスを経て、講師としての認定を受ける。その後、教育機関側はAWSが用意したカリキュラムを自校の授業に組み込むことができるようになる。受講する学生側も、授業を通じて最終的にはAWSの認定取得を目指し、AWSに関する知識・スキルを可視化してもらうという狙いがある。現時点では、麻生情報ビジネス専門学校と船橋情報ビジネス専門学校がAWS Academyメンバーとしての活動をスタートさせることが決まっており、AWSを学ぶ授業を2019年4月に始めるという。

 8月31日に記者発表を開き、これらのプログラムについて説明した長崎社長は、「ITニーズが拡大する一方で、経済産業省の調査では30年までに約60万人のIT人材不足が懸念されている。これは想像以上に大きな数字だ」と指摘。その上で、「クラウド技術者の需要が高まっているのは明らかで、AWS資格保持者はIT人材の中でも高年収であるという調査結果もある」と話し、AWS Academyを通じてクラウド技術者を増やす取り組みがIT人材の不足という社会課題の解決に貢献するとともに、学校側、学生側にも新しいビジネスチャンスやキャリアパスをもたらし得ることを示唆した。

 AWSはこのほかに、14歳以上の学生を対象としたオンラインの学習カリキュラムとして「AWS Educate」も用意しており、早稲田大学、九州大学、広島大学、近畿大学など「国内外の多くの大学ですでに導入されている」(長崎社長)という。AWS AcademyとAWS Educateを組み合わせ、学生がAWSについて学ぶ環境を拡大していきたい意向だ。

 しかし、教育機関側に広くAWS AcademyやAWS Educateを認知してもらい、さらにはプログラムに参加してもらうためにはAWS側の積極的な働きかけも不可欠だろう。同社の冨田賢・AWSトレーニングサービス本部事業開発部部長は、「AWS Academy、AWS Educateの具体的な事業目標はこれからプランを立てる段階だが、プログラムを日本語化したこと自体が、本気で広げていきたいという意思の表れだと思ってもらっていい。これからの注力度合いについても、(社長の)長崎が先頭に立ってメッセージを出していることでご理解いただければ」と、AWSの“本気度”をアピールしている。(本多和幸)