オービックビジネスコンサルタント(OBC、和田成史社長)は、奉行クラウドを起点にポートフォリオの全面的なクラウドシフトを進め、顧客層の拡大を図る。APIを活用したサードパーティーの連携ソリューションの拡充やBPO事業者向けモデルの提供、グローバルビジネス対応機能の実装などを進めるほか、ERP製品の大型アップデートも検討しており、よりアッパー層の新規ユーザー取り込みも視野に入れている。

 同社は今年2月、中堅・中小企業向け基幹業務ソフトの「奉行i」の全面SaaS化を打ち出し、第1弾として財務会計ソフトである「勘定奉行」と給与計算ソフト「給与奉行」のSaaS版をリリース。同時に、奉行シリーズのSaaS製品の統一ブランドとして「奉行クラウド」を打ち出した。今年7月には、APIを活用して他のシステムと連携させることができる「奉行クラウドAPI version」をリリースし、奉行クラウドとの連携ソリューションをラインアップしたいパートナー向けに、API開発環境と開発者ポータルも提供している。和田社長は、「すでに40製品が奉行クラウドとAPI連携できる対象製品になっている」とエコシステムが順調に拡大していることを強調する。
 
和田成史
社長

 和田社長によれば、奉行クラウドの滑り出しは、売り上げとしても満足できる水準だという。この主力製品のSaaS化ビジネスで一定の手応えを得たことで顧客層を拡大できるという見通しをつかんだということか、その取り込みを図るための新製品・新機能提供の計画も明らかになった。

 具体的には、奉行クラウドのBPO事業者向けモデルの提供を2019年4月に開始するほか、グローバルに事業展開するユーザー向けに、クラウド上で本社と海外子会社が会計データを共有できる多言語・多通貨対応の勘定奉行クラウドを来夏をめどにリリースする計画だ。さらに、将来的には中堅企業向けERPパッケージ製品である「奉行V ERP」の大幅な刷新とSaaS化も検討しているという。

 ERP市場では、デファクトスタンダードともいえる「SAP ERP」の標準サポート提供期限が25年に迫っており、これを機に既存SAP ERPユーザーのダウンサイジング需要と他社製品への乗り換え案件が相当数発生すると期待する関係者は少なくない。OBCの一連の取り組みも、そうした市場の動きを見据えたものといえそうだ。前号の週刊BCNでは、中堅・中小企業向け基幹業務ソフトのSaaS提供で先行するピー・シー・エー(PCA)もERP製品の刷新により中堅企業層へのアプローチを強化する方針であることを報じた。老舗国産業務ソフトベンダーの相次ぐ新施策により、基幹業務ソフト市場の流動化が進みそうだ。(本多和幸)