富士通(田中達也社長)は、健康データを個人向けサービスに活用する健康医療情報管理基盤サービス「ヘルスケアパーソナルサービスプラットフォーム」を始めた。同社は電子カルテや医療情報連携の分野で実績があり、健康データの取り扱いノウハウも蓄積している。こうした強みをテコに、「健康データを使って個人向けにサービスを提供したい」と考える企業や団体に、データ基盤サービスやシステム構築(SI)を売り込んでいく。


 富士通がこれまで手掛けてきた病院と診療所、薬局などを結ぶ地域医療情報連携ネットワークは、医療関連の企業/団体を主な対象としたEHR(企業・団体間で共有される健康記録)であるのに対して、今回のプラットフォームはPHR(個人向けに共有される健康記録)である点が大きく異なる。

 例えば、サンスターグループの電動歯ブラシには、スマートフォンと情報連携できる機種がある。歯ブラシの動きを認識するセンサーから得た情報を記録・分析することで、虫歯予防に役立てるものだ。富士通は、サンスターと協業して、電動歯ブラシから得たデータをサービスプラットフォーム上に吸い上げ、先進予防歯科サービスを手掛ける歯科医院と共有。歯科医師や歯科衛生士は、患者の日々の歯磨きデータを参照した上で、よりパーソナライズされた歯科指導を行える仕組みを構築している。

 こうした個別の事例が、国内だけですでに15件ほどに増えており、「メニュー化されたサービスプラットフォームに対する十分なニーズがある」(今井良輔・第二ヘルスケアソリューション事業本部長代理兼第四ソリューション事業部長)と判断。今回のサービス化に踏み切った。

 課題は、医療機関などと連携した新しいサービスを創出できるかにある。健康データや医療データは、機微な情報であることから、医療機関側も外部へデータ提供に慎重だ。富士通では、「血圧やコレステロール値、肥満などの毎年の健康診断で判明する程度の健康データをもとに、合併症や重症化の予防に役立つサービスが有力候補となるのではないか」(田中良樹・第四ソリューション事業部第二ソリューション開発部長)と、まずは一般化しやすいサービス開発が有望だとみる。また、民間企業による一般個人向けのサービスだけでなく、自治体による住民向けのサービスや、企業による従業員向けの健康サービスへの応用も視野に入れる。

 技術面では、国の定めた「3省3ガイドライン」に準拠した高度なデータ管理を行うとともに、電子カルテや地域医療情報連携ネットワークで培ってきた医療や健康にかかわるデータの取り扱いノウハウも生かすことで、2022年度までに国内120件のサービス、ユーザー数ベースでは100万人規模のサービスプラットフォームへと成長させていく。(安藤章司)