【ラスベガス発】設立から35年を迎えた米デルテクノロジーズ(マイケル・デル会長兼CEO)。米ネバダ州ラスベガスにおいて、プライベートイベント「Dell Technologies World 2019」を現地時間の4月29日から5月2日の期間で開催した。デルにとって最大規模となる同イベントには、世界122カ国から約1万5000人のパートナーとユーザーが参加した。同社を取り巻く市場の変化や、それに対する事業戦略などが発表される中で、注目を集めたのはヴイエムウェアとマイクロソフトとの提携で実現したクラウドサービス「Azure VMware Solutions」であった。(山下彰子)

ラスベガスで開催されたDell Technologies World 2019

デルのマルチクラウド戦略に大きな一歩

マルチクラウドに不可欠な
ラストワンピース


 初日の基調講演に登壇した米デルテクノロジーズのマイケル・デル会長兼CEOは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進におけるマルチクラウドの重要性を強調した。そして複数のパブリッククラウドを活用するだけではなく、「プライベートクラウドでもパブリッククラウドでも、データとアプリケーションが行き来できる環境が必要」と説明。そして、マルチクラウド環境の実現に重要な構成要素となるのが、デルテクノロジーズファミリーの一員である米ヴイエムウェアのソリューションだ。

 ヴイエムウェアはマルチクラウドソリューションを実現するため、これまでAmazon Web Services(AWS)をはじめGoogle Cloud Platform、IBM Cloudとパートナーシップを結んできた。そして今回、そのパートナーエコシステムにマイクロソフトのAzureが加わり、大手クラウドベンダーが出揃う形となった。提供されるサービスは、AzureにおけるVMware vSphereベースのクラウドサービス「Azure VMware Solutions」である。
 
左から米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、
米デルテクノロジーズのマイケル・デル会長兼CEO、米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO

 ヴイエムウェアが18年11月に発表した「VMware Cloud on AWS」と同様のクラウドサービスで、Azure上でVMware環境を提供する。VMwareベースのワークロードをAzure上で動かすことができるため、ユーザーはVMwareのツールを使ってプライベートクラウドとパブリッククラウドのハイブリッド環境でワークロードを動かしたり、管理したりできる。

 基調講演ではデル会長兼CEOと、米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEOの二人に招かれ、米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが登壇。Azure VMware Solutionsについて、「VMwareの機能を全てネイティブでAzure上で使える」と説明した。それを受けてデル会長兼CEOは「VMwareをAzureで使いたいというニーズは多かった」とし、ゲルシンガーCEOは「ユーザーはマルチクラウドを実現するためのソリューションを求めている。Azure VMware Solutionsはマイクロソフト、ヴイエムウェア両社のユーザーにとって重要なものになるだろう」と話した。

 同ソリューションは、ヴイエムウェアの認定を受けたソリューションとして、マイクロソフトが年内に提供を開始する。また、デル会長兼CEOは、今後の方針について「次はVMware NSXとAzure Networkingをどのように統合するか、また特定AzureサービスとVMware管理ソリューションをどのように統合するかを検討していきたい」と、ネットワークと管理ソリューションへと協業範囲を拡大していくことを示した。

デバイス管理などにおいても
両社のソリューションが連携


 クラウドだけではなく、エッジ(デバイス)分野におけるヴイエムウェアとマイクロソフトの連携も発表された。ヴイエムウェアは、業務で使用するアプリケーションを多様なデバイスからセキュアにアクセスできるようにするプラットフォームとして「Workspace ONE」を提供している。そこに、マイクロソフトのデバイス管理「Microsoft Intune」とディレクトリーサービス「Azure Active Directory」が連携するというのが、今回の主な発表内容である。

 デル会長兼CEOは、「Office 365やMicrosoft 365、Windows 10、Azure、Active Directoryが統合的に利用可能になるため、最高のソリューションとしてユーザーに届けることができる」と紹介した。このほか、デスクトップ環境の運用管理ソリューション「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」が、マイクロソフトがAzure上で提供する仮想デスクトップ環境「Windows Virtual Desktop(WVD)」で使えるようになる連携も予定している。

 デルとマイクロソフトは、PCの分野でデル設立以来から提携関係にある。ヴイエムウェアとマイクロソフトとの強固な連携には、そうした歴史的な背景を感じることができる。