SAPジャパンは5月30日、独SAPのグローバルでの最新ビジネス戦略を明らかにした。昨年11月、オンラインリサーチツールを提供する米クアルトリクスを80億ドルで買収することを発表したが、クアルトリクス製品を既存の業務アプリケーションに組み込み、新たなソリューションとして提供していく。

 SAPはクアルトリクス製品で取得・分析できる顧客満足度や従業員満足度などのデータを「Experience Data(Xデータ)」とし、これを既存の業務アプリケーションが持つ「Operational Data(Oデータ)」と掛け合わせることで、従来の業務アプリケーションでは実現できない価値を提供し、競合製品に対する大きな差別化要素にしたいという。
 
森川衡
バイスプレジデント

 SAPジャパンの森川衡・バイスプレジデントは、「例えば顧客体験についてみると、CEOの80%は自分たちの製品やサービスが素晴らしい顧客体験を提供していると思っているが、実際にその製品・サービスに満足している顧客はその10分の1しかいないという調査結果もある。このエクスペリエンスのギャップを正確に把握し、それを埋めていくことで市場のディスラプターになれる」と話す。

 ERPやCRMといった業務アプリケーションは、SoR(Systems of Record)とも言われるように実際に起こった「結果」をOデータとして蓄積していくが、森川バイスプレジデントによれば、「クアルトリクスの買収によりSAP製品で活用することが可能になったXデータは、Oデータに対して、なぜそういう結果になったのかという“Why?”を提供する。ユーザーはOデータとXデータを組み合わせて分析することで、継続的に製品・サービスを改善してエクスペリエンスギャップを埋めていくためのインサイトを得られる」という。

 グローバルでは、今年5月にHCMやCRMにクアルトリクス製品を組み込んだ新しいソリューションをすでに発表しており、ラインアップを順次拡充していく。
 
首藤総一郎
バイスプレジデント

 また、同社は同じく今年5月に、ユーザーが社内外のデータをより一元的に活用できるようにするためのマルチクラウド対応HANAソリューション群として「SAP HANA Cloud Services」を発表し、その第一弾として、データウェアハウス(DWH)ソリューション「SAP Data Warehouse Cloud」を提供予定であることも明らかにした。SAPジャパンの首藤総一郎・バイスプレジデントは、「SAP Data Warehouse Cloudはメタデータ管理のためのもので、AWSの(DWHサービスである)『Redshift』などとは競合ではなく補完関係になる」と説明する。現在はベータ版を提供している段階で、年内にはリリースする予定だ。(本多和幸)