九州最大手の富士通ビジネスパートナーのエコー電子工業(柗本淸人社長)は、富士通のクラウドサービス上で防災デバイスと連動したシステム開発に力を入れている。開発したのは雨量観測システム「EQROS(エクロス)」で、雨量計で取得したデータを富士通のクラウドに吸い上げ、洪水や土砂災害の恐れがある地域の避難を促すなどの用途を想定している。富士通クラウドを使うことで、「費用を抑えつつ、防災に求められる信頼性を確保した」(柗本社長)と話す。

 雨量計の開発・製造は、エコー電子工業のグループ会社でIoTデバイスの製造などを担う九州テンが担当。雨量観測に特化することで価格を抑えた。雨量の観測データを集約し、分析するシステムを個別に構築すると費用がかさんでしまうため、富士通のクラウドサービスを活用。あらかじめ設定しておいた警戒値を超えた場合、すぐさま自治体担当者や住民にメールなどで通知し、避難を促す。

 住民の生命や財産にかかわる重要なシステムであるため、「クラウドを使うにしても信頼性が大切になってくる」と、富士通クラウドを使うことで自治体の限られた予算内に収まるよう設計した。第1号ユーザーとして、地元長崎県の南島原市に納入している。

 雨量観測システムは、全国の富士通ビジネスパートナーを通じても販売する。「富士通パートナーの業種ソリューションを富士通クラウド上に集めて、パートナー同士でクロスセルしていく流れを加速させていきたい」とし、今回の雨量観測システムをパートナー・クロスセルの一環として位置付ける。エコー電子工業単独での販売は地元九州地区を中心に、向こう3年で10自治体ほどへの納入を見込む。
 
柗本淸人社長

 新規事業では、コミュニケーションロボット商材も重視している。エコー電子工業では、「ユニボ」や「ペッパー」「タピア」などロボットの動作をユーザー自身が簡単に設計できるツールを開発。専門的な知識がなくても、画面から動作やセリフを選んでいくだけで、受け付けや会場案内、商品説明などが行えるようになる。九州では多くの訪日外国人で賑わっており、そうした訪日客の興味を引くツールとして「小売業からの引き合いも多い」と手応えを感じている。今年度中には、バーチャルユーチューバーのようなCGキャラクターにも対応していく予定だ。

 雨量観測システムやロボット向けのツールのいずれもサービス方式での販売で、安定して利益を確保できるストック型のビジネス。「IoTやロボティクスはサービス型の商材が主流になってくると見られ、主に利益面での貢献に期待している」と話す。柗本社長は、今年5月にトップに就任。1982年の定期採用一期生で、創業家以外のプロパーで初の社長に就いた。エコー電子工業の売上高は50億円余り。富士通クラウドなどを活用したサービス商材をはじめとする新規事業を軸にビジネスを伸ばしていく。(安藤章司)