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NTTコミュニケーションズ データ活用基盤サービスの業種展開を加速 製造業の調達業務効率化を支援

2020/05/15 09:00

週刊BCN 2020年05月11日vol.1824掲載

 NTTコミュニケーションズ(庄司哲也社長)は、成長事業と位置づけるデータ活用基盤サービス「Smart Data Platform(SDPF)」の機能追加や応用領域の拡大を急ピッチで進めていく。ユーザー企業の秘匿性の高いデータを安全に流通させる仕組み「DATA Trust(データトラスト)」を新たに提供するとともに、コンタクトセンターにおける顧客体験の向上、製造業向けの調達支援サービスといった業種・業務に焦点を当てたアプリケーション領域への応用を推進することで、SDPF関連ビジネスの成長につなげたい考えだ。

庄司哲也 社長

 SDPFのコンセプトは、個別の企業単位ではなく業界全体でのデジタル化などを実現する“業界協調型デジタルプラットフォーム”だ。DATA Trustは、データのアクセス権限を細かく設定できるなど、さまざまな企業のデータが適正に流通・活用される環境をつくるための機能。同社はこれをSDPFの基盤機能の一つと位置付ける。

 SDPF上で稼働するアプリケーションの開発については、コンタクトセンターのデータを活用して顧客体験の向上につなげる「CXプラットフォーム」や、社員証をスマートフォン用アプリに組み込んで電子社員証として使う「スマート・ミー(仮称)」を今年度中(21年3月期)に提供する予定だ。さらに、製造業の調達業務をSDPF上で行う「デジタルマッチング」の事業化を推し進める。

 「デジタルマッチング」は、製造業の業務で最新のデジタル技術を応用するスマートファクトリー分野の商材の一つ。従来は属人的な業務であり、メールや電話による個別連絡も多かった調達業務を、発注側と受注側の双方で効率化する。「DATA Trust」を活用して設計データを安全に共有したり、見積もりや受注履歴の電子化、AIによる業務効率化などを実現。今年夏から実証実験をスタートし、今年度中の商用化を目指す。

 SDPFを活用した製造業向けのサービスとしては、すでに組み立て加工向けのIoT活用や、化学プラント向けにAI画像解析による異常検知などの実証実験や商品化を進めている。これらを含めてスマートファクトリーを「SDPFの主力市場」(赤堀英明・スマートファクトリー推進室長)と同社は捉えている。庄司社長も、SDPFの業種展開先として「まずはスマートファクトリー分野に力を入れる」と話す。

 スマートファクトリー分野では、PwCコンサルティングとの協業も発表した。NTTコムとPwCコンサルティングが「相互に協力する」(PwCコンサルティングの三山功ディレクター)かたちでデジタルマッチングのビジネスに取り組み、向こう数年で100億円規模の売り上げ規模、製造業ユーザーの社数ベースでは数千社の獲得を目指していく。

 NTTコムはSDPFの業種・業務の展開先として、ほかにもスマートシティ、教育、健康、働き方、移動、顧客体験などの重点分野を挙げており、こうした領域の商材を拡充していく。2024年の電話回線のIP化に伴う全国一律料金化によって長距離電話の収入減が見込まれるが、その減収分を補ってなお成長を持続するための重要施策として、継続して注力する方針だ。(安藤章司)
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