日本マイクロソフトは10月7日、2021年度(21年6月期)の経営方針を発表し、政府・自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に注力する意向を示した。クラウド市場をけん引するアマゾンウェブサービス(AWS)がこの領域でも積極的にビジネス拡大を図っているが、日本マイクロソフトの吉田仁志社長は「アマゾンと同じ戦い方ではない」と述べた。

吉田仁志 社長

 同社が政府・自治体のDXに注力する背景には、菅義偉新政権が掲げるデジタル庁の創設がある。吉田社長は「デジタル庁構想をきっかけとしたクラウドによるデジタルガバメントの実現に貢献する」とし、「業務のデジタル化、そこから生まれるデータの一元化と基盤の構築、それを利用した行政を横断するシームレスなコミュニケーションの確立。クラウド化を推進してこれらの実現を進めていく」と力を込めた。

 政府・自治体向けでは、AWSが3月に新しいパートナー戦略を示し、中央省庁や地方自治体などでのクラウド活用を推進する方針を強調した。また今月8日には、総務省による第二期政府共通プラットフォームが、AWS上で運用開始されたと発表。順調に活用が拡大していることを印象づけている。

 これに対し、日本マイクロソフトは、どのような戦略で取り組みを進めるのか。吉田社長は「われわれは、これまでに社内の中でDXを進める上で、たくさんの失敗をしてきている。テクノロジーの会社であるわれわれが、テクノロジー(を考えるの)は最後でよかったというようなラーニングも持っている」と説明。単にクラウドサービスを提供するだけでなく、自身の経験を基にDXそのものを支援できるノウハウと体制があることが強みであり、AWSとの違いだと強調した。

 また「日本マイクロソフトは、ビジネスの成功だけを目指しているのではない」と前置きし、「20年度の日本のGDP(国内総生産)は、マイナス6%前後と予想されている。この後、長引くであろう経済の再生に向け、日本マイクロソフトは、重点分野での取り組みを通して活性化に貢献したい」と語った。民間企業のDXを実現することもそのための重要な課題だと位置づける。

 吉田社長は「新型コロナウイルスの影響が深刻な分野をなんとか盛り上げたい」とし、物流や製造、小売り、中堅中小企業のDX支援にも注力したい考え。セキュリティ基盤の確立やリモートワークを軸としたワークスタイル変革のためのソリューションを同社のパートナーエコシステムの力を生かして提供するほか、次世代IT人材の育成策も強化する。
(齋藤秀平)