オービックビジネスコンサルタント(OBC)は10月9日、パートナー向けイベント「OBCパートナーカンファレンス2020」で、アップデートした製品戦略と販売戦略を発表した。クラウド製品群のラインアップがいよいよ完成し、パートナーによる間接販売を主体とした拡販にはデジタルマーケティングを取り入れ、オンラインでのリード獲得・育成、商談を支援するプログラムを立ち上げるという。和田成史社長は「ウィズコロナからアフターコロナへと向かう中で、あらゆる企業にとって業務のデジタル化に取り組むことが競争力の源泉になる」とコメント。バックオフィス業務周辺を広く網羅して生産性向上を支援する商材を揃えると同時に、パートナービジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むことで、自社のビジネスエコシステムが継続的に成長していく環境を整えようとしている。(齋藤秀平)
業務の本流を押さえる
労務管理は自前で用意
OBCは2018年、従来の主力製品であるSMB向け基幹業務ソフト「奉行i」を全面SaaS化した「奉行クラウド」を発表し、これを主軸に据えたビジネスに転換していく方針を明らかにした。19年10月には奉行クラウドのフルラインアップが出揃っている。一方で、同社は15年から、従業員が行う各種申請などバックオフィス業務周辺の定型業務のプロセス改善を支援するSaaS商材の提供も始め、これを「奉行クラウドEdge」ブランドで整備してきた。つまり、奉行クラウドと奉行クラウドEdgeは、必要な製品を組み合わせて使うことで、バックオフィス業務のデータ収集から蓄積、活用までを広くカバーできるラインアップの実現を目指してきたと言える。
和田成史 社長
和田社長は「この10月で、奉行クラウドEdgeも現在のロードマップ上にあるラインアップが出そろう。これにより、(ユーザーのバックオフィス業務を)データを中心とした業務のやり方に変え、システムは入力レスで業務プロセスが減り、かつ精度が上がるような世界が実現できるようになった」と説明する。
奉行クラウドEdgeの新製品・新機能の中で、目玉の一つは「労務管理電子化クラウド」だ。奉行クラウドEdgeには、特定領域に強みを持つサードパーティーベンダーとの協業により整備した商材も多いが、これはOBCが自前で開発し、今月末に市場に投入する。
労務管理ソフトはHRテックのスタートアップであるSmartHRが市場で大きな存在感を発揮しており、OBCと競合する業務ソフトベンダーは、SmartHR製品とのAPI連携で労務管理領域をカバーしているケースも多い。しかしOBCは、バックオフィス業務の本流に近い部分は自社製品で押さえたいと考えているため、そうした戦略を採用しなかったという。
和田社長は「SmartHRの登場で、従業員情報を集めて、貯めて、活用するということを一貫してデジタルでやるという、従来の人事管理や給与計算システムとは違うソリューションの価値が市場に認知された」と評価。その上で、「ここはバックオフィス業務の中でも重要なフローなので、OBCが自分でやらないといけないと判断した」と説明する。
パートナーカンファレンスでも、労務管理電子化クラウドを「ペーパーレスで情報を収集し、貯めて、活用する総務人事のデジタル化の第一歩」として活用できる点を強調。既存商材である総務人事奉行クラウドと組み合わせて利用することで、企業独自の運用に合わせたデジタル化が可能になることを解説した。また、ビズリーチの採用管理システム「HRMOS採用」と連携させ、入社手続きから人事労務業務まで一気通貫に管理できることも紹介した。
このほか、奉行クラウドEdgeの新製品として、「Mastercard」ブランドの法人プリペイドカードサービスで小口現金での立替・精算をキャッシュレス化する「奉行Edgeキャッシュレスクラウド」、請求書を電子化して自動配信し、印刷や郵送作業を不要にする「奉行請求電子化クラウド」なども発表した。
デジタルマーケティング支援で
パートナーの変革も促す
一方、新型コロナウイルスにより、これまで一般的だった対面での営業が難しくなった。OBCのパートナーや顧客からも同様の相談があり、OBCは「対面を前提としない効率的かつ効果的なオンラインでのアプローチが必要」とみている。
OBCは、新たにパートナーのデジタルマーケティングを支援するプログラムを開始する。パートナーのデジタルマーケティングへの意欲やノウハウ、スキルセットを考慮した上で、取り組みレベルに応じた支援を行うという。OBCの支援内容は、商材に紐づいた動画やホワイトペーパー、オンラインセミナーなど、デジタルマーケティングのためのコンテンツ提供が中心で、リード情報の管理などはパートナー自身で行う。