日立製作所は、客先に設置するオンプレミス方式のストレージで、メガクラウドベンダーが提供するストレージサービスと同等のコストパフォーマンスを意識した従量課金サービスを始めた。クラウドサービスの浸透で「使った分だけ支払う」従量課金や、「発注してすぐに使える」利便性が支持される中、日立製作所は発注から最短1週間で客先にストレージを届けるクラウド的なコンサンプション型のサービスを今回、初めて投入。価格を抑えて、広くビジネスパートナーに販売してもらい、従来のストレージ製品よりも“販売ボリューム”を大きくすることで利益増を目指す。(安藤章司)
尾崎正和 クラウド&プロダクツ サービス部担当部長
コンサンプション型サービスでは、選択できるストレージ構成を限定し、システム設計にかかる時間やコストを削減。保守サービスも厳選した上でチケット制として、「チケットは“年5枚までを目安とする”など、明瞭かつ簡素なサービス体系にした」(尾崎正和・クラウド&プロダクツサービス部担当部長)ことで、オンプレミス方式でありながら価格を抑えた。ユーザー視点で見れば、「企業の最重要資産であるデータを安く手元に置いておける」メリットが挙げられる。
井上志織 クラウド&プロダクツ サービス部主任技師
メガクラウドベンダーが提供するストレージサービスは、データ容量や通信トラフィックが増えるに従い、オンプレミスとの価格差が縮まる傾向がある。井上志織・クラウド&プロダクツサービス部主任技師は、「メガクラウドベンダーと価格帯を合わせることで、データをクラウドに置かないユーザーの企業戦略を実践しやすくなる」と話す。
長堀隆史 ストレージビジネス推進部 担当部長
ユーザーは、外部のデータセンターを借りてオンプレミス環境を構築するケースが多いため、コンサンプション型サービスでは、日立製作所独自の高密度実装の技術を使った2U分のラックに収納できる小型で高性能なストレージを選択できるようにした。「従来モデルと比較し2.2倍の処理性能ながらラックスペースを節約し、コストを抑えられるように努めた」と、長堀隆史・ストレージビジネス推進部担当部長は話す。
日立製作所では、自由にストレージ機種を選べる月額固定料金の「ベーシック」、フルカスタマイズが可能なオーダーメイド型のマネージドサービスの「カスタム」のサービスをすでに提供している。今回の「コンサンプション」サービスは、ベーシックとカスタムの間を埋める位置づけで2020年12月に初めて投入した。「販売ターゲットとなる業種や販路を限定せず、広くビジネスパートナーに売ってもらえる」(尾崎担当部長)量販型のサービスとして展開していく。