富士ソフト(坂下智保社長)が「Amazon Web Services(AWS)」を活用した提案を強化すべく、技術者育成やパートナープログラムの各種認定取得に向けた投資などを強化している。企業の経営戦略においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要な課題として浮上する一方で、エンタープライズITにおけるパブリッククラウドの活用が一般的な選択肢として浸透したこのタイミングこそ、自社の強みを生かして商機をつかむチャンスだと捉えているという。

 同社は昨年5月、AWSのパートナープログラム「AWSパートナーネットワーク(APN)」の最上位カテゴリーである「APNプレミアコンサルティングパートナー」に認定された。日本ではちょうど10社目のプレミアコンサルパートナーだ。

 同10月には、オンプレミス環境からAWSへ移行するためのコンサルティング、設計、構築、運用をトータルで提供する技術力と実績を評価する「移行コンピテンシー」の認定も取得した。さらに12月には、「AWS Well-Architectedパートナープログラム」の認定も取得。顧客の目的に即し、AWSが蓄積してきたベストプラクティスを踏まえた最適なアーキテクチャー設計や運用の能力が認められたかたちだ。
 
田中基敬 次長

 富士ソフトがAWSのパートナーとしてのビジネスをスタートさせたのは2011年にさかのぼる。田中基敬・ソリューション事業本部インフラ事業部クラウドソリューション部次長は「当初はインフラの一つの選択肢としてAWSを位置付けていたが、その後、AWSのサービスはすごいスピードで進化した。アプリケーションの開発基盤としての機能の充実などを目にして数年前に方向性を変え、富士ソフトの強みである業務知識を生かしてお客様のDXを支援するための中心的なサービスとして捉えなおした経緯がある」と説明する。こうした戦略の転換とともに、プレミアコンサルパートナー取得の準備も進めてきたという。

 田中次長はさらに、「アーリーアダプターやイノベーター層がセルフサービスに近いかたちで利用していた初期のクラウド市場とは違って、技術と知見のあるパートナーの支援を受けながらクラウドをしっかり使っていこうというお客様がどんどん増えている。業務にもクラウドにも精通しているSIerの価値は高まっている」とも話す。AWSパートナーとしてのケイパビリティが可視化されることが、大きな商機につながると見ているのだ。
 
山本祥正 執行役員

 クラウド活用の第一歩としては、既存システムのインフラのみオンプレミスからクラウドに移行するというやり方が選ばれることも多いが、ここにも変化の兆しがあるという。山本祥正・執行役員ソリューション事業本部副本部長は「単なるインフラの移行ではなく、システムそのものをクラウドネイティブなかたちに再構築することを望まれるお客様も増えている。その結果、自社内だけでなくAPIで外部とつながりやすくなり、業種をまたいで他企業と連携することでビジネスのイノベーションを起こしていくような動きが活発になっている」と話す。顧客のイノベーションを促すようなDX支援の提案も視野に、AWSビジネスへの投資は継続的に強化する。現在約500人のAWS技術者を、23年半ばまでに1500人規模に拡大する計画だ。(本多和幸)