日立製作所は3月31日、米グローバルロジックを総額約1兆円で買収すると発表した。グローバルロジックは米サンノゼに本拠を置く「デジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニー」(日立)であり、同日の記者会見で東原敏昭社長は「Lumadaを進化させてグローバル展開を加速させるための買収」と説明した。両社の強みを統合することで、2025年度(26年3月期)には従来計画比で年間1000億円規模の売り上げ拡大効果を見込む。今年7月に買収を完了する予定。

東原敏昭 社長

 グローバルロジックは通信、金融、自動車、ヘルスケアなど多様な産業分野に400社以上の顧客を持ち、デジタルトランスフォーメーション(DX)のコンサルテーションや各種ソフトウェア開発から運用・保守サービスまでをカバー。世界14カ国に約2万人の従業員を抱えており、その半数以上が経験豊富で技術力の高いエンジニアだという。インドを中心にオフショア開発の拠点も整備している。20年度(21年3月期)の売上高は前年度比19.3%増の9億2100万ドル、21年度はさらに成長を加速させ売上高12億ドルを見込む。

 日立によれば「グローバルロジックのビジネスは日本市場でいえば大手SIerやコンサルファームと重なる部分がある」ものの、「顧客との協創によりアジャイル型のシステム開発をメインに新規ビジネス創出を支援してきた実績が豊富である」ことが大きな違いでもあるという。既にグローバルで、顧客との協創拠点と位置付けるデザインスタジオを8カ所、デリバリー拠点となるエンジニアリングセンターを30カ所整備している。ミッションクリティカルな領域で信頼性の高い業種アプリケーションを手掛けてきた日立のITセクターとの強い補完関係も期待できることが今回の大型買収を後押しした。
 

 日立はIoTプラットフォームの提供や業種ノウハウを生かしたシステム構築などを組み合わせ「データドリブンなソリューションを提供する」というコンセプトでLumadaを展開してきたが、今回の買収がそのポートフォリオ強化に大きく貢献すると見ている。東原社長は「Chip to CloudでIoTのエッジからクラウドまでつなぐ力を持っているのがグローバルロジックの素晴らしさ」ともコメント。特にエッジ側のソフト開発力を高く評価していることを示唆した。Lumadaの既存アセットとのシナジーによりサイバー空間とフィジカル空間を一気通貫かつリアルタイムにつなぐ能力を強化し、より多様なニーズに応える体制を整える方針だ。

 従来、Lumadaのグローバル展開は日立の米国子会社である日立ヴァンタラが主導してきたが、同社の約1万人の人的リソースにグローバルロジックの従業員2万人を合わせ、3万人規模の体制でLumada事業の拡大を加速させる。さらに、金融や公共分野を中心に、国内を含む既存のITビジネスにもグローバルロジックの技術・ノウハウを還元し、顧客のDXを支援する。最終的には社会インフラ系などITセクター以外のビジネスにもグローバルロジックとの統合効果を波及させたい意向だ。(本多和幸)