DXというキーワードが広まり、中小企業や地方公共団体などのDX化についてアドバイスやコンサルティグを求められる機会が増えている。しかも、単にIT技術の問題でなく、マーケティングそのものの知識を必要としたり、最新のデジタルマーケティングの情報を求められたりする。クライアントだけでなく、ITコンサルタントから質問を受けたり、セミナーを実施したりする機会も増えてきた。そこで、この連載ではデジタルマーケティングの知識に関するアップデートやマーケティングの基本的な知識を学習してもらえるよう解説していく。
例えば、主に技術系IT関連の業務に携わり、副業や独立開業でコンサルタントの仕事を始めたとする。その時、必要な技術が「サーバーの保守」「コーティング」といったケースは少ない。サーバーのオンプレミスが減少し、保守の必要性が低下していることも原因の一つといえるが、今の企業ニーズが以前とマッチしていないことが原因である。
これは、デジタルマーケティングのノウハウや人材を企業が必要としているからだ。そういった意味では、技術系IT関連分野のITスキルを持つ人材がマーケティングを学ぶという方法が早い習得につながる。これまでのITスキルにマーケティング知識をプラスする。そこで、マーケティングの基礎の基礎である「STP」について説明する。
まずは「S」について。「Segmentation」のことで、顧客である企業を例えば規模の大小で分けてみる。独立後すぐに対象となるのは、中小企業であることが多くといえよう。現在の立場とは違い「コンサルタントとしてものを教える」ということですから、その方が立ち回りやすいからだ。
次に「T」について。「Targeting」のことで、中小企業にターゲティングしたら、その上で得意な「DXを実施したい」企業に照準を定める。実は、日本の企業のほとんどが中小企業で、大部分の企業がDX化を標榜しているのだ。
最後に「P」について。「Positioning」のことで、DX化したい中小企業にITコンサルサービスを提供したい企業が多くある中、どのようなポジションをとればいいか。それには、「これまで数十年培ったITセンスやスキル」に「マーケティングスキル」をプラスするだけ。ほかには真似ができないノウハウが蓄積されることになる。
このように「市場の細分化」「どの市場を狙うか」を行った上で、「その中で優位に立つためにはどんな位置を取るべきなのか」を考えることが、マーケティングの基本になるというわけだ。
■執筆者プロフィール

積 高之(セキ タカユキ)
京都積事務所 代表 ITコーディネータ
広告・ブランディングの職務を経験後、コンサルタントとして独立。大手子供服SPA,酒販小売業チェーン、保険代理店などの顧問・コンサルタントを歴任。ITだけでなく小売業・広告業の実務経験を通じ、リアルビジネスのマーケティングをベースにしたコンサルティングのノウハウを持つ。関西学院大学専門職大学院 先端マネジメント研究科(後期博士課程)在学中。経営管理修士(MBA) 関西学院大学大学院経営戦略研究科卒。チーフSNSマネージャー、上級SNSエキスパート、上級ウェブ解析士などの資格も持つ。