アシストは、ITベンダー同士の共創コミュニティ「With BP!!（ウィズビーピー）」について、2022年12月から本格的に活動を始めた。ユーザー企業の業務的な課題からエネルギーや食料といった社会的な課題に至るまで、高度なデジタル技術が求められる領域が広がっており、同社が取り扱っているIT商材だけでは対応が困難なケースが増えている。With BP!!では同業のITベンダーをビジネスパートナーと位置付け、幅広い領域でビジネス創出を狙う。同月時点でSIerやソフト開発ベンダーを中心に11社が参画している。
（安藤章司）

　同社は、ソフトウェア商材を中心とした付加価値ディストリビューター（VAD）事業を手掛けており、ベンダーから販売権を取得し、性能や互換性を検証した上で販売パートナーやユーザー企業に届けている。ただ、VAD方式では販売代理店としての契約、各種の検証に時間がかかるだけでなく、取り扱う商材数に限りがあることや、「とりあえず試してみる」といったアジャイル的なアプローチに弱いことが課題として浮上し、解決に向けて22年4月にWith BP ! ! を立ち上げた。


　With BP!!では、アシストが販売権を持っているかどうかに関わらず、ユーザー企業のニーズに合わせて商材を提案する。これによって「案件ベースでビジネスパートナーとともに新しいビジネスの創出が可能になる」と、執行役員の小西雅宏・東日本営業本部長は話す。販売権を持っていない商材を共創コミュニティを通じて取り扱うのは今回が初めてという。

　11社は、SCSKやSB C＆S、NTTデータ数理システム、JBCC、ジール、電通国際情報サービス、ラックなど。参画を検討中の企業が複数社あるほか、西日本のITベンダーも積極的に募っていくことから、本年度（23年12月期）は「30社程度に増える見込み」と、柳慶二郎・東日本営業本部戦略企画推進室マネジメントエキスパートはコミュニティの活性化に手応えを感じている。

　例えば、「脱炭素に取り組みたい」というユーザー企業からの要望に対しては、With BP!!のコミュニティの中から脱炭素に関連する商材を取りまとめて提案することを想定している。ほかにも官公庁、自治体が開示している人流や天候といったオープンデータの活用では、ジールのオープンデータ収集・加工ツール「CO-ODE（コ・オード）」と、NTTデータ数理システムの数学的アプローチによる高度なデータ分析、アシストのデータ活用基盤「aebis（エビス）」の組み合わせなどのケースを見込む。
 
　柳マネジメントエキスパートは「販売や会計といった特定の業務課題であれば、解決できる商材の選定は比較的容易だが、エネルギーや食料など漠然とした社会課題に対しては、コミュニティでの試行錯誤を通じた解決方法が効果的」と話す。

　実際にコミュニティを機能させるためには、参画するベンダーがどのような商材を持っているのかを知るところから始めなければならない。アシストは、同社が取り扱う米動画共有サービス「Panopto（パノプト）」を活用して、各ベンダーの商材プレゼン動画を共有。22年12月末までに100件を超える動画が投稿されている。対外的には、With BP!!の活動や商材を告知する専用サイト「For X!!（フォーエックス）」を設け、販売促進に役立てていく方針だ。