アリババグループは、2015年3月の米国でのデータセンター開設を皮切りに、クラウドサービス「阿里雲（AliCloud）」のグローバル展開を開始した。中国では圧倒的な存在感を誇る阿里雲だが、海外での認知度はまだ乏しい。ビジネス成功のカギを握るのは、各国・地域の事情に精通するITベンダーとのパートナーシップ構築だ。宋子?は、そのためのパートナープログラム「Marketplace Alliance Program（MAP）」の責任者を務める。ゼロからMAPをつくり上げ、すでにインテル、ボーダフォン、エクイニクスなど、グローバル約50社のベンダーと手を結んできた。「大きな一歩を踏み出せた」と胸を張る。


　とはいえ、グローバルのクラウド市場は、Amazon Web Servicesやマイクロソフトなど、並み居る強豪がひしめく群雄割拠。阿里雲は未熟だ。「ベンチャーが成長するには、そこで働くメンバーに強固な信念が求められる」と考える。宋のビジネス上の信念は、「必勝。常に100％の努力に徹すること」だ。ハードワークで知られるアリババ。仕事量は前職と比べ倍以上に増えた。「深夜3時まで仕事をして、翌朝は8時出勤。1日のメールのやり取りは300件以上。これが日常」と平然と語る。

　野心に満ち溢れ、厳しい挑戦ほど士気が高まる性分。白紙の状態でMAP責任者を命じられた際は、「心配よりもむしろ、成長の機会をもらったことへの興奮の感情が勝った」。ただ、まだビジネス上の到達点は定めていない。「毎日、自分ができる精一杯のことを続けていくだけだ」。自身を成長させてくれる環境がアリババにはあると確信している。迷いは微塵もない。（文中敬称略）