トレンドマイクロの取り組み
クラウド時代を睨み
物理・仮想・クラウド環境守る製品投入
トレンドマイクロは、09年4月に買収したカナダのサードブリゲイド社の製品を新しいサーバーセキュリティ製品「Trend Micro Deep Security 7.0」として発売する。
仮想環境では、ハイパーバイザーや仮想マシン同士の通信が外部から監視できないことで、十分なセキュリティ対策ができないという問題が顕在化している。仮想化はクラウド・コンピューティングを実現する技術要素の一つだ。「クラウド・コンピューティングの採用が進むと、自社内に設置したファイアーウォールを越えてシステムを利用することになる。これまで企業内ネットワークに閉じていたウイルス感染被害が、インターネットを通じてクラウドのサーバーまでに及ぶリスクがある」(九里禎久・マーケティング本部長)と警鐘を鳴らす。
「Deep Security 7.0」は、物理、仮想、クラウドが連携した環境のセキュリティを一つのアーキテクチャで実現するソリューションで、サーバーを保護する「Deep Security エージェント」、仮想サーバー特有の脅威から守る「Deep Security Virtual Appliance」と、これらを一元管理する「Deep Security マネージャ」の三つで構成されている。「Deep Security Virtual Appliance」は、バーチャル・アプライアンスの形で提供し、ヴイエムウェアのVMSafe APIに対応。何らかの理由で仮想サーバーにエージェントを乗せられない場合でも、Virtual Applianceの導入環境に仮想サーバーを移植すれば保護できる。
従来のIPS/IDSに加え、ウェブアプリケーションの改ざん対策、ファイアーウォール、セキュリティログの一括管理などの機能を主に提供。同社は仮想化ソリューションを提供しているような大手SIerなどをパートナーとして拡販を図る。
ネットワールドの取り組み
物理環境で
仮想化保護する製品が伸びる
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| 芹澤朋斉部長 |
ネットワールドは仮想化ソリューションの提供で多くの実績をもっている。同社のマーケティング1部バーチャル・インフラグループの大城由希子グループマネージャーは、「中小規模の会社にも広がるなど、確実に導入は当たり前になってきた。また、確実に1社あたりの導入ボリュームは大きくなっていて、本格導入のフェーズの企業が増えている。ヴイエムウェアの製品を中心とする仮想化技術を使うことを基本として、3年間分、何百本ものライセンスを一括購入する顧客も増えてきた」と実情を話す。ハイパーバイザーを導入している企業は日々増加し、7000~8000社が取り入れているのではないかと予測する。また、「無償提供版を利用しているユーザー企業を含めるとかなりの数にのぼるのではないか」と話す。
ネットワールドは、「いまバーチャル・アプライアンスのようにハイパーバイザー上に仮想マシンの一つとして導入するタイプと、物理環境から仮想環境に対応したセキュリティ機器を設置して守るという二つのアプローチがある」(マーケティング1部の芹澤朋斉部長)という。後者については、昨年の夏からその代表格であるフォーティネットのUTM製品を推奨している。「今、非常に伸びている商材」(芹澤部長)だそうだ。例えば、1台の物理サーバー上でポリシーがそれぞれ異なる複数の仮想サーバーが動いていると、その分だけそれぞれのセキュリティポリシーにあわせたファイアウォールを設置する必要がある。スペースもコストも負担が大きくなるし、運用管理も複雑になるので、ファイアウォール自体を統合して1台にし、それぞれポリシーに基づいて、すべての仮想サーバーを守る仕組みを提供している。
仮想化といえば、現在のところはサーバーやデスクトップでのニーズが高いが、今後はフォーティネットのUTMのように、ネットワークの仮想化や、ストレージの仮想化が進んでいく過程で、セキュリティ強化にもユーザーの注目度が高まってくる。各ベンダーが続々と対応製品を出してくると考えられ、販社にとっても提案できる商材が増えることとなり、目の離せない分野であることは間違いない。