丸紅インフォテック
特定メーカーとの協業を強化
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坂元祥浩 執行役員管理部門長補佐 (兼)経営企画部長 |
丸紅インフォテックは、数多くの製品を扱うのではなく、売れる製品に絞り込むことを明らかにした。「09年10月から製品の選択と集中に着手した」と、坂元祥浩・執行役員管理部門長補佐(兼)経営企画部長は話す。もちろん、極端に製品を絞るのではなく、一定の製品アイテム量は維持する。特定メーカーとがっちり組んで、販売店のビジネスに有利になることを追求するのが最適だと判断している。坂元執行役員は、「メーカーと販売パートナー、そしてユーザー企業を結ぶポジションに当社が位置する。そういった意味では当社を含め、すべてがメリットを受けられる取り組みが必要」と説明する。
販売店が製品を仕入れやすい環境作りで力を入れているのがウェブEDI「BEACON」だ。扱っている商品数は約50万点で、「このサイトでは売れ筋製品のプロモーションにかなり力を入れている」という。具体的には、特徴的な製品の機能説明や用途などを記載しているほか、販社がパンフレットをダウンロードして印刷できるようにした。販売店がメニューを把握しづらいと認識しているライセンス販売では、それぞれの購入形態でどのような価格帯になるかを瞬時に検索できるようにも工夫。ソリューション事例集やキャンペーン情報などの拡充で、販社の売る意欲を高める取り組みも進めている。そのほか、同社の営業担当者などが業務で活用することで、最適な使い勝手を追求している。
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丸紅インフォテックが提供する 「BEACON」のトップページ |
ウェブEDI関連では「BEACON」以外に、販社がユーザー企業との間で受発注できる「BEACON.P」をはじめ、メーカー向けに「BEACON.V」などを提供。販社の事業拡大や、メーカーの利便性向上につながっており、「ウェブEDIは当たり前のツールになっている」と、坂元執行役員は話す。
製品を絞ってメーカーが売りたい製品をウェブEDIでアピール。一方で、販売店がユーザー企業のニーズに合わせた製品をウェブEDIで探し出す。このようなサイクルが確立しつつあることから、「もしウェブEDIが充実していなかったら、当社は生き残れなかったのではないか」と胸を撫で下ろす。ウェブEDI経由の売上比率は、全体の22%を占めている。まだまだ比率は低いが、ウェブEDI経由での取引が多くなれば、「高コスト体質から脱却できる」とみている。ウェブEDIの活用で、メーカーと販社とのコミュニケーション向上を果たしており、ディストリビュータとして次のステップに進むための大きな糧になっているといえそうだ。当たり前のツールを有効活用していくことが、同社にとって競争の厳しいなかで生き残っていくためのポイントにもつながっている。
ダイワボウ情報システム
地域密着の営業体制生かす
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嶋村貴史・販売推進本部 マーケティング部副部長 |
ダイワボウ情報システム(DIS)は、全国に約90か所の営業拠点を構える。ウェブEDI「iDATEN(韋駄天)」の商品登録数は160万点にのぼり、登録メーカー850社、販売店網は1万7000社に広がっている。流通ルートが多岐にわたるのが特徴だ。
近年の傾向として、電子商取引の規模が7割(明細ベース)に迫り、拡大を続けているという。販売店にとって、業務の効率化が喫緊の課題で、電子商取引への関心が高まったことがその一因とみられる。
「iDATEN(韋駄天)」が主眼に据えるのは、情報提供によるビジネスチャンスの拡大と、販売店の負担になっていた事務工数の軽減だ。嶋村貴史・販売推進本部マーケティング部副部長は、「『iDATEN(韋駄天)』の利活用により、売買取引業務が迅速になったという考え方をもつ販売店が増加傾向にある」と話す。そのほか、メーカー向けのウェブEDI「OrderAssist」などの利用で、全体の85%(明細ベース)がシステム化されているため、メーカーが提供する情報を正確に販売店に届けられるという。
同社ならではの特徴的な販売店支援も顕著にみられるようになった。地域密着の営業体制で差異化を図っている。地域事情を勘案した各種提案などで、販売店の営業活動の幅を広げるメリットを強調する。
嶋村副部長は、「90拠点の存在意義がますます大きくなってきた」と話す。ユーザー企業のIT投資意欲が減退するなかで、地方のIT市場に精通している同社のノウハウや経験、技術がメーカーや地場の販売店から求められているのだ。
例えば、2009年に文部科学省が音頭を取った「スクール・ニューディール」構想に伴う案件獲得がそれだ。同社支店と地場メーカー、販売店の連携で、「国内総需要に対して、PC台数ベースで約30%確保できた」(嶋村副部長)という。今後同社は、販売店とともにアドバイザリー的な役割を果たしたり、ソフトウェアを含む教育コンテンツの販売に乗り出したりする考えだ。
同社の営業部隊は、セミナーの開催や実ソリューション型展示会の実施、教育プログラムの推進など、販売店の後方支援に力を入れている。具体的には、「仮想化」などを視野に入れた各種イベント、システム提案を加速化させている。「潜在需要を掘り起こす」(嶋村副部長)のが狙いだ。全国90拠点を活用し、販売店への支援を進めてきた成果が現れ、仮想化関連ソフト、大型ストレージ、ネットワーク関連機器の販売数が伸びているという。
既存のリソースを最大限に生かして、メーカーや販売店の機能補完を充実させる。加えて、エンドユーザーにフォーカスした販売施策を地場メーカー、販売店と共同で模索し、事業を拡大していく。それがDISの戦略だ。
Epilogue
ディストリビュータ4社の動向は、大きく二分される。
ディストリビュータにとどまらない事業を展開し、クラウドサービスの拡充に努めているのがソフトバンクBBと大塚商会。通信事業者とSIerというそれぞれがもつ異なる顔を最大限に活用している。 一方で、ディストリビュータとしての基盤固めを進めているようにみえるのがダイワボウ情報システム(DIS)と丸紅インフォテックだ。DISの取材の冒頭では、そもそも本当に“箱売り”は難しくなっているのかと、疑問の声があがった。全国拠点を生かしたメーカーや販売店への支援や連携強化など、これまで以上に地域密着を全面に押し出す。丸紅インフォテックは昨年、製品ラインアップの選択と集中に着手し、高コスト体質の改善を図った。
各社は、これまで国内市場で事業を展開してきた。しかし、国内市場の成長が見込めないうえ、潜在需要の掘り起しにも限界がある。今後、海外進出の動きが活発化していくことが予想される。