【OSSメーカーの販社支援策】
販社とのパートナーシップを深耕
支援制度やサポートの強化
OSS関連のビジネスに欠かせないものとして、Linuxディストリビューション製品がある。これは、Linuxカーネル、ドライバ、アプリケーションをパッケージ化したものだ。製品を開発したメーカーのサポートが保証されていることもあって、ユーザー企業からの信頼を得ている。ディストリビューション製品を提供するメーカー各社は、ビジネスを拡大するうえで販社の存在が欠かせないと捉えて、パートナーシップを深めようとしている。
[レッドハットの場合]
販社支援の人員を1.5倍に
協業強化で新サポートを開始 Linuxディストリビューション製品を提供するメーカーのなかで著しく成長しているのがレッドハットだ。昨年度(2012年2月期)の売上高がグローバルで前年度比25%増の11億3000万ドルと、OSSを主力事業に据えるメーカーとして初の10億ドル超えを果たした。日本では、グローバルほどではないものの、それでも前年度比20%以上の伸びを記録している。廣川裕司社長は、「今年度売り上げとして前年度比30%増を目指す」と、拡大戦略を語る。
レッドハットが順調に成長している背景には、販社の増加がある。とくに、ソリューション案件の獲得に向けて戦略的にパートナーシップを組んでいる「アドバンスド・ビジネスパートナー」が1年間で1.5倍に増えた。レッドハット側も、ユーザー企業に直接アプローチをかけて販社の案件獲得につなげる営業部門を1.5倍に増員している。

レッドハットは、OEMパートナーとの協業を強化して基幹システム向けLinuxサポートプログラム「AMC」を提供する(写真左がレッドハットの廣川裕司社長)
富士通や日立製作所、NECなどOEMメーカーとの協業によって、ディストリビューション製品「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の「バージョン6」で、ユーザー企業向けの基幹システム向けサポートプログラム「Red Hat Advanced Mission-Critical Program(AMC)」を提供したことは、今後の成長につながりそうだ。「AMC」は、ユーザー企業がミッションクリティカルなシステムを安心して動かすことができるように、問い合わせに対する即応性の向上、緊急の問題解決プロセス、重大な問題のプロアクティブ通知などを実施するサポートプログラムである。今回、OEMパートナーが「RHEL 6」をサーバーに搭載したことで、ユーザー企業は「RHEL 6」を使ってサポート付きでミッションクリティカルなシステムを構築することができるようになった。廣川社長は、「OEMパートナーがAMCを『RHEL 6』にも適用してくれたことによって、メインフレーム大国といわれる日本市場が大きく変わっていく」と、メインフレームをLinuxで塗り替えようとの意気込みを示す。
[ミラクル・リナックスの場合]
販売パートナー制度を創設
台湾の国立研究所と連携も ミラクル・リナックスは、システムバックアップの新製品「MIRACLE System Savior(MSS)V2」を5月28日に発売した。それに伴い、「MSS」の認定販売パートナー制度を設置し、販社支援を強化した。
ユーザー企業のITシステムが複雑化している市場環境にあり、販社と密なパートナーシップを組んで製品・サービスを提供することが重要と判断。とくに中小企業の市場を開拓する。現在、日本ヒューレット・パッカード、ネットワールド、ユニアデックス、横河レンタ・リース、ネットワンシステムズなどが参加。児玉崇社長は、「販売パートナーときめ細かく連携すれば、中小企業をターゲットとして案件を獲得することができる」ともくろむ。制度に参加する販社を増やすことについては、「これまでパートナー制度をもっていなかった当社にとっては、日本で大きくビジネスを伸ばすための戦略的な取り組み。当面は大幅に増やすつもりはなく、既存の販売パートナーと、さまざまな案件を獲得する策を練っていく」としている。
新製品の「MSS」は、システム内のデータだけでなく、IT環境を確実に保護することをコンセプトに、仮想化やSANboot/FCマルチパス、クラスタソフトウェア、仮想I/Oなど、複雑な環境でもバックアップ/リストアできる。開発にあたって台湾国立HPCセンターのオープンソースソフトウェア研究室(NCHC)と協業、NCHCのバックアップソフト「Clonezilla」と連携した。児玉社長は、「OSSの海外ベンダーとのアライアンスに関しては、販売パートナーから『差異化できる』との評価を得ている。パートナーシップを深める認定制度を設けたことからも、さらに日本市場でOSSの普及が期待できる」との考えを示す。

NCHCとの協力体制(写真左がミラクル・リナックスの児玉崇社長)
[次のページ]