[ノベルの場合]
パートナー制度の刷新で拡販
約50社の販社を対象に支援  |
山崎正広 シニアマネージャー |
ノベルでは、販売パートナープログラムを刷新し、既存の販社に対する支援を強化することで拡販体制を整えている。具体的には、法人向けにLinux「SUSE Linux Enterprise 11 Service Pack 2(SP2)」を3月に提供したことをきっかけに、「SUSEパートナープログラム」を設けた。「SUSEソリューションパートナー」にはSUSE活用のSIや再販に必要なリソースを、「SUSEテクノロジーパートナー」にはSUSE活用のソフトウェアやハードウェア、アプライアンスなどの開発に必要なリソースを、「SUSEクラウドサービスプロバイダ」にはクラウド上でSUSE活用のサービスを提供するために必要な課金モデルを構築している。
米ノベルが、2010年11月にソフトウェア関連の持株会社である米アタッチメイトグループに買収され、米国では「Novell」と「SUSE」の二つの事業部門として展開。日本では、「SUSE」に特化した販売パートナー制度を設けていなかった。山崎正広・営業本部SUSE事業担当シニアマネージャーは、「現在、SUSEの販売パートナーは50社程度。手厚く支援していく」とアピールする。
最新版の「SP2」は、アプリケーションの互換を維持したままカーネルが更新できる新開発手法「Forward-Looking Development」を初めて採用。最新のLinuxカーネル「3.0」を搭載し、アプリケーションのパフォーマンス向上やネットワークの負荷分散などができるようになった。また、ファイルシステムの「Btrfs」、OS仮想化技術の「LXC(Linux Container)」、ディザスタリカバリや事業継続計画(BCP)の策定に有効な「ジオクラスタリング」などの機能を追加している。山崎シニアマネージャーは、「新製品の発売と販売パートナープログラムの刷新によって、『SUSE』の国内シェアをさらに引き上げていきたい」との考えだ。Linuxディストリビューション製品の国内市場で、現在のシェアは10%程度という。新基幹系システムやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野での利用を促してシェア拡大を図っていく。
[ターボリナックスの場合]
OSチェンジキャンペーンで攻勢
他社からの乗り換えを促進 ターボリナックスは、サーバーや基幹システム、アプライアンス機器などで長期間稼働中のLinux OSを対象に、今年3月30日から9月28日まで「OS乗り換えキャンペーン」を実施して攻勢をかけている。価格や運用サポート料金はライセンス数などによって異なるが、100ライセンス以上のOSを乗り換える場合に半額で提供するなど、かなりアグレッシブな動きをみせている。また、ターボリナックスの製品にリプレースする際の移行作業やカスタマイズについて同社のエンジニアが担当し、販社支援にもつなげている。
ベンダーの製品やサービスとの連携も進んでいる。インターネットサーバー構築・管理ソフト「Turbolinux Appliance Server 3.0(TLAS3)」が、ホスティング事業者であるハイパーボックスが提供するクラウドサービス「HyperCloud」に対応。「HyperCloud」のユーザー企業が、OSとして「TLAS3」を選択できるようになった。サイボウズもグループウェア「サイボウズ Office 9」で「TLAS3」に対応した。
業界団体への活動も積極的に進めている。グループ会社のターボシステムズが、Linux OSの普及をサポートするコンソーシアム「リナックスファウンデーション」に参加。ワークショップ「Consumer Electronics」「Long TermSupport Initiative」に入り、OSベンダーとして、AndroidやLinuxへの移植、ドライバの開発、特定のハードでLinux OSを実行できるようにするソフトウェアコンポーネント「ボードサポートパッケージ(BSP)」の提供、ストリーミングメディアサーバーなどのアプリケーション開発、組込みLinux開発などでの実績と技術力を生かしていく方針だ。
記者の眼
OSSのユーザー企業が増えていることや、メーカーがビジネス拡大に向けて販社支援策の強化に力を注いでいる状況は、製品・サービスを売る側にとって追い風といえる。また、中国などアジア地域でニーズが高まっていることからも、OSSで海外ビジネスの拡大にもつながりそうだ。自社に適したメーカーの製品を担ぐことや、目的にかなった販売パートナー制度を有効活用することがビジネス拡大のカギといえるが、OSSを使って自社の強みを生かしたシステムを提供することがポイントになってくる。競争が激しくなる可能性を秘めていることからも、他社との差異化を明確にすることがOSS市場で主導権を握ることにつながることは間違いない。