【新提案】
活況を呈した「DSJ 2012」 新しい製品が続々登場
6月13~15日、デジタルサイネージに関連した総合展示会「デジタルサイネージジャパン(DSJ)2012」が開催された。このイベントで、多くの出展メーカーがデジタルサイネージの新しい用途を披露していた。
会場で目立ったのは、鉄道などで多く活用されている交通系サイネージだった。遅延情報などを表示したり、駅構内で広告を配信したりするという主流の機器をはじめ、紙の地図にデジタル情報を表示するパネルを配置するというアナログとデジタルの融合を実現した展示もあった。案内図システムを提供するベンダーの表示灯(名古屋市)がブースで披露していた。
また、中国システム機器(広島県福山市)のブースでは、業界初となる「3DCGバーチャル祭壇」を展示。遺影の背景で故人の動画を流すことや、葬儀専用の会場以外でも葬儀を行うことができる。葬儀業者にとっては人件費や時間が削減できるのがメリットで、遺族にとっては故人が望んでいた葬儀を実現できるというメリットがある。実際に、デジタルサイネージを使って葬儀を執り行った例もあるようだ。
「DSJ 2012」で出展していた製品・サービスは、すでに発売しているものもあるが、目立ったのは試作品だった。現時点ではまだ商用化していないので、ビジネスとして成立するかどうかは気になるところだが、デジタルサイネージが広がりをみせている機運は読み取ることができた。

「DSJ 2012」は多くの来場者で賑わった

中国システム機器の「3DCGバーチャル祭壇」は衝撃的
BCNの「市場攻略セミナー」
映像でコミュニケーションを変革 BCNが6月14日に実施した「デジタルサイネージソリューション市場攻略セミナー」では、デジタルサイネージコンソーシアム常務理事を務める江口靖二デジタルメディアコンサルタントが「ビジネスに活かすデジタルサイネージソリューションにはコミュニケーション設計が不可欠」と題して基調講演を行い、「使われない『墓石サイネージ』が出ないように、マルチスクリーンで映像コミュニケーションを変革すべき」と説いた。
また、「目先の利益だけを追いかけると、結果的に市場を萎縮させてしまう」と指摘した。街でデジタルサイネージをよく見かけるようになったものの、単なる広告配信だけではなく、ロケーションに適した情報を配信することが重要ということだ。
具体的には、JR東日本の車内のトレインビジョンで、「電車に乗る人にとって一番必要な情報は、自分の降りる駅を知ること。一番情報がある横で、必要のない情報が脚光を浴びてしまうと、デジタルサイネージは墓石になってしまう」と警鐘を鳴らす。
デジタルサイネージはテレビや従来の看板・ポスターと異なり、時間の特定と場所の特定を行うことができる。江口コンサルタントは、「『時間×場所=状況』を分析して配信できることを提案しなければ、ユーザー企業には伝わらない」と訴えた。
記者の眼 東日本大震災の影響で、首都圏を中心に各地で計画停電が実施され、昨年はデジタルサイネージに対するユーザー企業の導入意欲が薄れてしまった。一方、大震災の際に交通情報や気象情報などをリアルタイムに発信することによって、デジタルサイネージが重要な情報源であるという認識は生まれてきているのは間違いない。しかも、オフィス内への提案などユーザー企業に広がりをみせていることをみれば、潜在需要が大きいことをうかがわせる。
また、ハードだけでなくソフトやサービスを組み合わせ、コンテンツ制作なども含めてさまざまな角度から提案し、独自のノウハウを生かすことができれば、ライバル他社との差異化を図ることができる。現段階で1000億~2000億円の市場と、規模としては決して大きいとはいえないが、ビジネスとして大きく化ける可能性が期待できる分野である。