ネットワーク機器の販売や構築を事業の主軸とするネットワークインテグレータ(NIer)は、ビジネスの新しい柱として、クラウドを活用するサービスの展開に取り組んでいる。従来型事業の規模が縮小する傾向にある状況下で、需要が高まりつつあるサービス商材をツールに、ビジネスの拡大を目指す。この特集では、主要NIerを取材し、彼らのサービス事業の進捗状況や直近の動きをレポートする。(取材・文/ゼンフ ミシャ)
長期収益に必須の新規ビジネス 有効な「売り方」を模索中
NIerは、1年ほど前から、サービス事業の立ち上げと拡大に本腰を入れている。システムインテグレータ(SIer)に比べて若干遅れながらも、サービスを新たな商材として、売上高と収益が減少しつつある従来型ビジネスを補う新規事業を推進している。
NIerの直近のビジネス状況をみると、ネットワーク機器の販売・構築事業は順調のようだ。EMCジャパンやF5ネットワークスジャパンの製品に強い東京エレクトロン デバイスでは、CN事業統括本部CNプロダクト本部の林英樹本部長が「データセンター(DC)の新設・増設需要にけん引され、ストレージやロードバランサの受注が増えている」とコメントするように、販売が伸びている。しかし、その一方で「ハードウェア単体のビジネスは日増しに難しくなっているので、早いうちにサービス・サポートへのシフトを図る必要がある」と危機感を示してもいる。
調査会社のIDC Japanは、ネットワークのコア機器の一つであるイーサネットスイッチの国内市場は、2012年を境に、低価格化とともにエンドユーザー売上額が少しずつ減っていくとの予測を公開している(図1参照)。減ったとしても市場規模は決して小さくはないが、ビジネスを伸ばすためには、ネットワーク機器に追加する新たな商材の展開が欠かせない。東京エレクトロン デバイスの林本部長は、「中期的にみれば、ハードウェアが収益の大半を占めるが、5年後をめどに、サービス・サポートの事業はハードウェアを上回ってくる」との見解を示す。
●コスト抑制がポイント ネットワーク機器の市場規模が縮小する一方で、SaaSをはじめとするクラウド市場は、本格的な成長が始まっている。ノークリサーチによると、2016年までに2000億円に近いレベルに拡大する見通しだ(図2参照)。こうした状況にあって、多くのNIerがサービスのキーワードに掲げているのは、「クラウド」と、クラウドに密接に関係している「DC」だ。
サービス事業は、従来のネットワーク構築事業とは売り方が異なる。日商エレクトロニクスの子会社であるエヌシーアイ(NCI)の宮倉雅史取締役によれば、「ネットワーク構築は、お客様にネットワークに必要なパーツを提供するが、サービス事業では、お客様のインフラ全体を提供するので、提案の仕方が大きく違う」ということになる。だからこそ、NIer各社は、サービスの提案ができるように、営業部隊のスキル向上に取り組んでいる。NCIでは、「現状では、NI担当の営業マンとサービス担当の営業マンがチームを組んで提案を行っているが、1年後の目標として、営業マン一人で両方の提案ができるようにしたい」(宮倉取締役)と考えており、営業部隊向けの社内トレーニングを拡充しようとしている。
NIerは、サービス事業を拡大するにあたって、ジレンマに陥っている面がある。兼松エレクトロニクス マネージメントサービス本部の南埜滋本部長は、「サービス事業を展開する場合、ヘルプデスクや相談窓口を設けなければならないので、ユーザーが増えれば増えるほど、人件費などのコストが上昇することになる」と指摘する。そうした点を勘案すれば、NIerは、サービスのユーザー数を一気に増やすのではく、コストを抑制しながら、着実にユーザーを増やしていくやり方がポイントとなりそうだ。
次項からは、有力NIer各社の具体的な取り組みを紹介する。
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