前号でも紹介したように、NTTデータイントラマートは今年10月、ドイツのプロセスマイニングツールベンダーであるシグナビオとパートナー契約を結んだ。ただし、同社はシグナビオ製品だけでなく、BPMやIoT基盤、RPA、OCR、AIなども包括したDXの土台をつくるソリューションとして「intra mart BIORA」を提供している。
日本ビジネスプロセス・マネジメント協会
横川省三理事
intra mart BIORAの中で核になるツールは、自社開発のBPMツール「IM-BPM」だ。同社のプロセス最適化提案では、日本ビジネスプロセス・マネジメント協会が推奨するメソッドに従い、ビジネスプロセスを階層で捉えている(13ページ上の図参照)。同協会の横川省三理事によれば、「エンド・トゥ・エンドの業務プロセスデジタル化を考える場合に、エンド・トゥ・エンドの具体的な範囲とはどこかというと、顧客との接点が発生して案件がスタートしてから、納品して保守に移行するなど、それが一旦終わるまで」だという。これは図1の機能階層でいうとファンクションレイヤー(FL)3からFL7の業務にあたる範囲であり、IM-BPMは、この範囲で組織間や個人間の連携を仲立ちしつつ、複数のシステムをつないで案件の始まりから終わりまでを可視化・自動化する役割を担う。
また、intra mart BIORAブランドの傘下にツールを用意するだけでなく、ユーザーがそれぞれのニーズや事情に合わせて継続的な業務プロセス改善・最適化の取り組みを実現できるよう、三種類のパッケージ化された提案メソッドも用意した。一つは、シグナビオのプロセスマイニングツールなどを活用し、ファクトデータから業務プロセスを可視化して最適化するボトムアップ型の手法。二つめが、ユーザー企業の現場社員にワークショップ研修を受けてもらい、現状の業務プロセスに関する問題提起や経営層に向けての解決策提案など業務改革を進めるスキルを身につけてもらう手法。そして三つめがいわゆるコンサル的手法で、業務のボトルネックを見つけ出し、ユーザーの経営陣と連携してトップダウンで全社的な業務改革を進めていく支援をするというもの。このコンサルサービスについては「IM-QuickWin」というサービス名で提供している。
NTTデータ イントラマート
中山義人社長
中山義人社長は、「intra mart BIORAブランドのツール・ソリューションはもとより、三つの提案アプローチについてもパッケージ化して、システム共通基盤『Intra-mart』のビジネスで協業してきたパートナー網経由で展開していることが当社ならではの価値。業務プロセス変革の成果を出すまでのコストも圧縮でき、中堅・中小企業にも、エンド・トゥ・エンドの業務プロセスデジタル化の道を開くことができる」と強調。独自の立ち位置で日本企業のDXの基盤づくりを支援していく考えだ。