Special Feature

紙面で振り返る2023年上期 地方、各業界でDXが具体化

2023/06/26 09:00

週刊BCN 2023年06月26日vol.1974掲載

 DXの実現を目指す流れは、国内で確実に加速しており、地方自治体や地方企業での具体的な取り組み事例が出てきている。建設や物流、医療といった分野では、業界特有の課題をテクノロジーの力で解決する動きが目立っている。また、対話型AI「ChatGPT」の出現により、上半期はジェネレーティブAI(生成AI)がIT市場を席巻した。2023年上期(1~6月)の本紙紙面を振り返りながら、IT業界の進路を展望する。
(構成/堀 茜、岩田晃久)
 

Chapter1
活発化する地方のDX

 地方自治体や地方企業でもDXをめぐる動きは活発化しており、複数の特集で地方の動きを紹介した。4月3日・1963号の特集「存在感増す『FIWARE』自治体IoTにおけるITベンダーの役割とは」では、発展が見込まれる自治体IoTにおいて、存在感を増すプラットフォームFIWAREを取り上げ、活用事例から自治体IoTにおけるベンダーの役割を探った。
 
4月3日・1963号の紙面

 FIWAREは、欧州連合の官民連携プログラムで開発された次世代インターネット基盤ソフトウェア。日系企業として唯一、FIWAREの開発に加わったNECは、データの利活用サービス、認証ソリューションなどを組み合わせた都市OSを展開。13自治体が導入している。インテックは、FIWAREを利用した自治体向けIoTプラットフォームを提供する。富山県魚津市では、ごみ収集車の稼働状況の可視化などを実施。行政運営コストの削減や市民に対する情報公開の効率化などにつなげている。

 NEC、インテックの両社が共通して指摘するのは、スマートシティはスマート化して終わりではないという点だ。ベンダーは自治体が抱える悩みと向き合い、市民の理解を得ながらともに事業を進めることが求められるだろう。

 各地域のITビジネスは、コロナ禍を経て変化、活性化している。4月24日・1966号では、「関西圏のITビジネスに変化あり 複合機販社の変革やITベンダーの異業種共創が活発化」、5月22日・1969号では「盛り上がる福岡のITビジネス 地元発の上場企業も誕生」の特集で、各地の現状をレポートした。

 関西圏でも、コロナ禍でリモートワークが推奨され、職場でのペーパーレス化や業務のデジタル化が進展。それに対応し、複合機メーカーのマルチベンダーであるプリントマシンセンターがITソリューションの提案に注力するなど、新しい動きがみられた。京都でクラウドインテグレーションなどを手掛けるフューチャースピリッツは、地元中心だった人材採用の方針を転換。リモートワークを前提として全国から幅広く優秀な人材を集め、成長を目指す。

 福岡県では、地元から上場企業も誕生するなど、IT業界は盛り上がりを見せている。システム開発会社Fusicは、23年3月に東証グロース市場と福証Q-Boardに上場した。好調の背景に、顧客の45%が東京を中心とした首都圏の企業となっていることが挙げられる。リモートでシステム開発の対応が可能となったことで、九州以外の顧客が増加したという。

 新型コロナ禍でITビジネスは大きく変わった。デジタルの力で地域間の距離は縮まり、全国各地のIT企業にとっては商機の拡大につながっている。
この記事の続き >>
  • Chapter2 業界課題をテクノロジーで解決
  • Chapter3 ChatGPTの出現で生成AIが話題に
  • Extra ITベンダーも自社で新たな取り組み

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