――2023年はどのような年だったか。
ひとことで言うと変えられた年だった。新しい経営体制になり、会社のスピード感は向上し、社員の意識や社内の雰囲気、文化も変わってきたと感じている。まだ課題はあり、大変なことも多かったが、逆にエネルギーにする方向に社員が心を一つにしつつある。
代表取締役社長執行役員 前山貴弘
――ビジネスは順調に推移した。
業績はおかげさまで順調に伸びている。インボイス制度絡みの需要は一定程度あったが、想定したほど上がらなかった。パートナーである会計事務所などに話を聞いてみると、まだ様子見の企業がある。一方、10月に発表した新ブランド「弥生 Next」については、売り上げへの貢献はもう少し先になるが、滑り出しは順調だ。弥生 Nextを中心に、全体として新しいお客様の獲得や製品の継続利用につながっている。
――特に優先的に解決すべき課題は。
長く事業を続けてきたことによって、特に考えずにこれまでのやり方を踏襲するようなところが社内でいろいろと残っている。一概にそれを否定するわけではないが、変化すればもっと効率が上がったり、違ったことができたりする部分がある。その意味で業務の見直しは引き続き進めていかなければならないと感じている。
入力作業がない世界の第一歩に
――24年に集中して取り組む領域は。
弥生 Nextは給与からスタートした。会計と商取引については24年中に提供すると宣言しているので、マーケットの皆様に喜んでもらえるサービスを確実に提供することが最も大きなところだ。新ブランドを育てていく元年になるが、全てのお客様が弥生 Nextのサービスを使うわけではない。デスクトップソフトを含めた既存製品の安定稼働についてもしっかりと取り組んでいく。
――会計と商取引の新サービスの方向性は。
弥生 Nextのコンセプトは「つながる、はじまる、もっといい未来」となっているので、それに対して「なるほど」と思ってもらえるサービスにする。具体的には、データをつなげて、バックオフィス業務の入力作業がない世界を実現するための第一歩にしたい。
――24年への思いは。
キャッチフレーズはデジタル元年だ。23年はインボイス制度が始まり、エンドユーザーにしても、会計事務所にしても、手書きだといよいよ業務が回らない状況が明らかになった。それに対して社会的にも、われわれとしても、24年以降はアクションを取らなければならないので、本格的にデジタル化の促進に注力する年にしたい。