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従業員目線のIT管理は定着するか DEXツール市場に国内外ベンダー参入

2025/10/06 09:00

週刊BCN 2025年10月06日vol.2077掲載

 従業員のデジタル体験の向上を目的にしたDEX(Digital Employee Experience)ツール市場に、国内外のベンダーが相次いで参入している。システムの安定稼働や運用効率化を主目的とした従来の管理ツールと比べ、ユーザーである従業員の目線を拾ってIT環境改善に貢献することを打ち出しており、従業員の生産性や定着率向上、IT部門の負担軽減の効果もあると説く。DEXの概念は欧米で先行。日本での認知は限定的で、定着するかは未知数だ。ツールの特徴と戦略について識者やベンダー各社に聞き、国内市場での可能性を展望した。
(取材・文/春菜孝明、南雲亮平)
 

APMやUEMから発展 企業の成熟度が浸透を左右

 業務用PCが頻繁にフリーズする、Web会議の音声が途切れる、特定のアプリケーションの起動や応答が遅延するーー。誰もが経験するデジタル環境の穴。端末を利用する本人しか認識しておらず、対処せずに放置されることも多い。こうした一つ一つの積み重ねが、デジタル体験の満足度を下げる要因となっている。

 DEXツールはこの課題の解決を掲げている。調査会社の米Gartner(ガートナー)は「企業が提供するテクノロジのパフォーマンスと、それに対する従業員のエクスペリエンスを測定し、継続的に改善することを支援する」と定義する。具体的には、エンドポイントやアプリケーションの利用状況のデータ、従業員の感情などを収集、分析し、課題の発見と対応につなげる。各社はAI機能を実装し、問題の自動修正や顕在化していない問い合わせの防止も可能だと踏み込む。

 IT環境のパフォーマンスや安定性を測るAPM(Application Performance Management)やUEM(Unified Endpoint Management)に比べ、ユーザーがシステムを使いこなしているかどうかの指標を重視している。実際、APMやUEM、DEM(Digital Experience Monitoring)に、従業員からのフィードバック機能を加えて発展させたDEXツールが多い。
 
ガートナージャパン
林 宏典 ディレクターアナリスト

 DEXツールが台頭する背景について、ガートナージャパンの林宏典・ディレクターアナリストは、コロナ禍を機に浸透したリモートワークと業務のデジタル化で「デジタルワークプレイスが業務遂行に欠かせない場になった」と説明する。2022年に起きた米Microsoft(マイクロソフト)の「Teams」の大規模障害を例に「(障害の影響で)世界中のビジネスが止まった。テクノロジーの安定性やパフォーマンスがビジネスのスピードと継続性にものすごく響く時代になった」と強調する。

 さらに、人手不足によって人材獲得競争が激化していることも要因にあるという。例えば、プライベートで生成AIを使いこなしている従業員が、会社でAIツールの使用を禁止されると不満を持ち、退職する可能性がある。優秀な人材に長く働いてもらうためには、デジタル環境を整える必要があるという構図だ。

 国内での浸透に向けた課題は、企業側の成熟度にあると林アナリストは読む。多くの企業が部門間連携の不足や責任の分散により、環境改善のアクションができない段階と説明。そこで、まずは現在運用している情報収集や管理のツールでPDCAを回すことで、従業員の満足度を上げることを提唱している。
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