Special Feature
三菱電機「Serendie」は次の段階へ 米Nozomi Networks買収が持つ意味は
2025/10/16 09:00
週刊BCN 2025年10月13日vol.2078掲載
(取材・文/大河原克行、編集/藤岡 堯)

Serendie関連事業は、FA(ファクトリーオートメーション)やビル、発電、鉄道から、空調をはじめとする家電に至るまで、幅広い事業で得られるデータを基盤上で集約・分析し、事業横断型の新たなソリューションを創出する試みだ。個別のソリューションから集めた顧客の利用データを活用し、顧客の潜在課題やニーズを把握した上で、ハードウェアの進化や統合的なソリューションの開発を図り、顧客へ価値を還元する。この繰り返しによる事業の成長・高度化が循環型デジタル・エンジニアリングの目指す姿であり、Serendieはこれを実現するための基盤かつ成長戦略の軸となる。
漆間啓社長CEOは、「三菱電機は、デジタルを活用したイノベーティブカンパニーに変革していく」との方針を示しながら、「三菱電機の強みはコンポーネント。これに、Serendieによるデジタルを掛け合わせることで、成長することができる。既存事業に対して、Serendieをしっかりと活用する方向へと抜本的に転換していく」と語る。

Serendie関連事業は、コンポーネントから集めたデータを活用して顧客の課題を見つけ、解決策を提供するデータ活用ソリューション事業と、収集したデータを基にコンポーネントを進化させる事業の2軸で展開される。
データ活用の一例として、2024年に提供を開始した熱関連トータルソリューションが挙げられる。同社はビルオーナーや製造業に対して、空調機器や給湯機器などのコンポーネントと共に、保守サービスも提供している。ここでSerendieを活用すると、他社製も含めた複数コンポーネントにおけるエネルギーを収集・分析できるようになり、三菱電機のエネルギーマネジメントシステムによる需要予測に基づいて、設備全体を考慮した最適な省エネルギー運転を実現できるという。
さらに進化すると、化石燃料を利用する設備の稼働を最適化したり、蓄電池の活用、拠点間電力融通による再エネ活用を促進したりして、顧客の脱炭素経営支援も可能になるとする。
並行して、同社の機器が現場でどのように利用されているのかを分析し、実態に合わせたかたちで、空調機器などの各種コンポーネントの進化を図るという。
- 30年度に売上高1兆円超
- 成長戦略の切り札
- データ収集技術に大きな期待
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