Special Feature
ウェルビーイングを支えるIT 組織強化のための新たな投資に
2025/10/27 09:00
週刊BCN 2025年10月27日vol.2080掲載
(取材・文/南雲亮平)

大塚商会
やりっぱなしにしないためITによる計測が必要
大塚商会は、ICTの活用も含めた経営課題の解決を支援する「トータルソリューショングループ」を組織し、2013年から「経営支援サービス」を提供している。営業本部トータルソリューショングループTSM課経営支援サービスチームの戸塚直子・課長代理は、「企業経営では、人材の定着や企業理念の浸透など、ITソリューションの導入だけでは解決が難しい課題が多くある」と指摘する。特に中小企業では、経営者が抱える財務、組織、人事などの課題に対し、第三者的な専門家の視点が必要とされることから、同サービスの提供を開始したという。
戸塚直子 課長代理
同社の経営支援サービスの中では、顧客企業のミッションやビジョン、組織文化の浸透をサポートすることで、従業員がいきいきと働ける組織づくりを目指すメニューを用意している。同社のプラットフォームに登録した中小企業診断士がチームを組み、無償の企業診断サービスなどを通じて、社長の思いと現場の不一致を洗い出し、人材育成や、チームビルディングを支援する。
大塚商会は、日立製作所の研究所で開発されたエンゲージメントサーベイ(調査)技術を提供するハピネスプラネットと23年に資本業務提携を締結しており、同社の「ハピネスソリューション」を経営支援サービスの中で活用している。月に1回の短いアンケート結果を元に、組織の状態を「心理的安全性」と「心の資本」の2軸でマッピングする。マネージャー層が組織の状態を定点観測することに焦点を当てており、変化があった際に原因を深掘りし、対策を立てるためのアラートとして機能する。結果をもとに、中小企業診断士が生成AIを活用して顧客への提案のベース情報を準備することもできる。
戸塚課長代理は、ウェルビーイング向上に向けてITを活用する意義を「(施策を)『やりっぱなし』にしないため」と説明する。健康や会社に対する満足度を増進するための取り組みは、制度の整備やイベントを実施すること自体が目的化し、期待する成果が得られたのか検証がおろそかになることが少なくない。ツールを用いて「エンゲージメント向上のための施策を実施する前後にサーベイを行えば、効果測定としても役立つ」(戸塚課長代理)。
一方で、「経営基盤の整備が、ウェルビーイング施策の前提となる」(戸塚課長代理)とし、組織文化の確立やマネジメント方法が不安定な段階でサーベイを実施しても、その価値は薄れてしまうと指摘する。組織の改善に向けた具体策を提示できるアドバイザーがいない状態でツールだけを導入した場合、ウェルビーイング向上を実現するのは難しいことに注意が必要だ。
- ドリームホップ ストレスチェックの一歩先 AIで具体策を提案
- 産業技術総合研究所 日本発の提案でウェルビーイングがISO規格に
- 従業員の健康や満足度が競争力強化の必須条件に
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