──5年にわたる長期経営構想の最終年度だった2025年12月期はどうだったか。
連結売上高6800億円、営業利益560億円の目標を達成できる見込みだ。このうちITソリューション(ITS)事業の売上高3000億円を重要経営指標の一つとしてきたが、24年度に1年前倒しで達成するとともに、25年度は同事業の売上高目標を3400億円に上方修正している。ITS事業の伸びにはグループ傘下のSIerであるキヤノンITソリューションズが大きく貢献してくれた。
足立正親 代表取締役社長
──ITS事業が伸びた要因は何か。
映像ソリューションやデジタルドキュメント管理サービス、数理・需要予測など当社独自のIT商材の伸長、データセンター(DC)を活用したITアウトソーシング、中堅・中小企業向けのIT保守・運用サービスを充実させたことが追い風になった。マネージドサービスといったセキュリティー商材も伸びている。
中堅・中小企業向けの直販ビジネスを主に手掛けるキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)では、ITの運用やセキュリティー、業種ソリューションなどを体系化した「まかせてIT」を展開しているが、直近では地域のビジネスパートナーを支援するビジネスにも取り組んでいる。ビジネスパートナーに前面に立ってもらい、キヤノンS&Sが「まかせてIT」のメニューを活用した裏方としてサービスを提供する間接販売チャネルを拡大させている。
より広く深く加速させる
──長経期間中に2000億円規模の成長投資を行っている。
自社IT商材の開発資金や、M&Aを3件、資本業務提携を目的とした一部出資を12件行ってきた。ほかにも社会課題の解決に役立つ研究開発(Research)や事業開発(Business Development)を目的とした“R&B”出資も15件ほど行っており、こちらはITSと直接の接点がなくても、将来的な事業創出につながる可能性がある幅広い分野を出資ターゲットにしているのが特徴だ。人々の生活や人生に関わる分野、人材開発、新興産業、地域再生など、今すぐに売り上げや利益につながるものではないとしても、30年以降を見据えた新規事業の創出を目的としている。
──26年度からは新しい経営計画が始まる。
26年は「より広く深く加速させていく」をキーワードとして、次の経営計画のスタートを切りたい。「より広く」はR&B出資を筆頭に、広く社会課題に向き合う次世代のビジネス創出に引き続き取り組んでいく。「より深く」は映像やドキュメントといった当社グループの強みをより強くしていくとともに、需要が伸びているAI関連ビジネスを一段と掘り下げることで、新しい経営計画・構想のもとで事業拡大を推し進めていく。