──2025年はどのような年だったか。
ビジネスと組織の両面で大きな手応えを感じた年だった。売り上げ、利益ともに過去最高に伸びた。特にクラウド製品の「弥生会計 Next」は計画を上回る勢いで成長し、リリースから7カ月で法人登録数が1万件を突破している。
武藤健一郎 代表取締役社長
組織面では、事業構造を「クラウド」「デスクトップ」「フィンテックやコンテンツ」の三つに分けた。さらに、AI与信管理クラウドサービスを提供するアラームボックスや起業化支援を行う創業手帳を買収し、中小企業や創業をサポートする土台が整った。
──デスクトップ製品の戦略は。
就任から約1年で、現場の業務を支援する製品には「手触り感」や「安心感」といった部分にも寄り添いが必要なことが分かった。マニュアルの軽トラックを愛用するドライバーがいるように、データを自分の手元で管理したいとの要望や、長年行ってきた入力作業、さらには紙の明細を大切にする文化も根強く残っており、尊重すべき顧客のニーズだと考えている。全てを強引にクラウド化するのではなく、安心感を提供しながら、いかにAIで効率化をサポートできるか。このバランスを取りながら展開していきたい。
ただ、全員がAIに仕事を任せる時代がいつかやってくる。会計に関しては、99%大丈夫となれば任せるようになるはず。そこに向けて少しずつ変化していくと考えている。
AIで中小企業の課題を解決
──AIの活用方法は。
社内では「3A」というカテゴリーで整理している。一つは、仕訳や取引入力、年末調整の書類エラーチェックなどを任せることができる「Automation」。二つめが問い合わせ対応の強化や資金繰り予測、粗利予測、予実アラートなどで経営をサポートする「Advisor」。三つめが自然言語の指示をもとにエージェントがSaaSを操作することができる「Assistant」だ。専門的なIT部門がある企業には自由にAIを使っていただき、そうでないところでも意識せずにAIの恩恵を受けられるよう組み込み、便利さを実感できる環境を構築する。
──26年の抱負を。
「AIエージェント」がテーマだ。AIはもはや特別なトピックではなく、電気のように当たり前のインフラになる。当社の製品にもすでにAIエージェントが入っており、今後も搭載を進めていく。デスクトップ版ユーザーについても、どのようにAIをつないでいくのかが課題だ。将来的には、AIエージェントに業務を任せ、人は成果物をチェックするだけになるだろう。
また、ファイナンス面では中小企業が抱える人手不足の悩みを、AIを活用して解決していく。特に、現在バラバラに展開している会計事務所向けのソリューションを繋げる仕組みを考えている。