2008年3月25日、エイサーの日本市場への本格始動を告げる新製品発表が行われた。しかし、日本においてワールドワイドで活躍する世界第3位、ノートPC世界第2位(*)のPCメーカーの実像は、まだベールに包まれている。そこで、発表会に続く連載第2弾では、ヘッドクォーターでブランドマネジメント&プロダクトマーケティングの指揮をとるアンディ・チャン ディレクターに、サクセス・ストーリーの中心地となった欧州市場で、エイサーブランドが支持される理由、成長の秘密について話を聞いた。

欧州市場で支持されるエイサーブランド
最良の経営スタイルが進化を加速する!欧州市場における成長のカギは「Easy」&「Flexible」

「台湾生まれの欧州育ち」成長を支えた5つのポイント

 エイサーは、PC市場を牽引するノート型を中心に、ワールドワイドでその名をとどろかせているが、「台湾生まれの欧州育ち」といわれるように、欧州ではトップベンダーと比肩する抜群の知名度と実績を誇っている。

 アンディ・チャン ディレクターは、欧州市場での強さの要因が「製品戦略」と「チャネル戦略」にあると述べた後、5つのポイントを挙げた。

 そのひとつが技術力で、現在、多くのノートPCで採用されているインテル Centrinoを、世界に先駆けてノートPCに搭載し、リリースしたのがエイサーだった。この事実ひとつをとっても、先進的な技術を常に追求するエポックメーカーの一端が垣間見える。また、フェラーリモデルに代表されるインダストリアルデザインも、時代を先取りし、カーボンファイバーなど現在に続く最高峰の技術と、デザインの融合が図られている。

 そのほか、電池の寿命管理や動画や映画のプレイバックなど、使いやすさを実現する“Empowering Technology”を採用したソフトウェアの導入。クオリティとコストパフォーマンスの両立、耐熱性、耐障害性など幾重にも施される信頼性テストといった、ユーザーが求める「技術」「使いやすさ」「信頼性」の要件を満たしたノートPCを、フルラインナップで提供している。

 

 「魅力ある製品が、コンシューマやSMB、要求が厳しいコーポレートなどセグメントに応じて、エイサーが推し進める『インダイレクト・ビジネス』により、最適な形でアプローチされています」(アンディ・チャン氏)。

 支持するユーザーは、 トータルパフォーマンスを“Easy” “Simple”として評価し、エイサーは「ユーザー・オリエンテッド」で応えていく。それこそが、20カ国にも及ぶ欧州市場で人気を博している理由といえる。

スピードと柔軟性が成長の原動力 共有コンポーネントを体系化

 他社が競争力の高い製品を投入し、チャネル展開などにも注力する中、エイサーの進化は加速し続けている。

 ボーダーレス化、グローバル化により、時代のキーワードが「スピード」と「柔軟性(Flexible)」を求める現在、エイサーはCPUやHDDなどのコンポーネントを共有化し、複数のプラットフォームで利用できる体制を構築した。これにより、需要の変動にも強く、数週間で製造ラインを調整できるため、柔軟に、迅速に、リクエストに応えることができるのだ。

 アンディ・チャン氏は、「台湾にヘッドクォーターがある地の利を活かし、開発、サプライチェーン、製造をバックエンドで支え、イタリアの社長を中心にワールドワイドで、マーケティングをしっかり見据えた展開を図る。この2つが最良の形で組み合わさったベストコンビネーションがエイサーの成功の秘訣です」と、最良の経営スタイルが進化の推進力になっていることを強調する。

 これまで、共通コンポーネントはあまり語られることがなかったが、「BTOやCTOは企業セールスに有効で、チャネル側でコンフィグレーションの変更を行うカスタムベース。一方、共有コンポーネントは、製造工場側でコンフィグレーションを迅速に対応することを前提に考えられています。個別に製造、検証プロセスを組み込む必要があるため、BTOほどの小回りは利きませんが、最新のテクノロジーを、早く、安くという点で大きなアドバンテージがある仕組みといえるでしょう」と、BTOやCTOとの違いを解説し、現時点で最適な仕組みであることを力説する。

 また、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアにおいても、共有コンポーネント化を「Empowering Technology」によって実現しており、複数のソフトウェアを起動しなくてもユーザーがよく使う主要機能を利用できる。

 さらに、環境問題に厳しい欧州において、使用する原材料を規制する「RoHS」や廃棄物、リサイクルに関する「WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)指令」に適合する製品開発も重要になる。基準への対応には、規制がはじまる半年以上も前から準備が進められている。こうしたひとつひとつの取り組みが、愛されるPCへとつながっている。

欧州と日本、異なる市場性 求められるローカルチューニング

 欧州をはじめ、ゲートウェイ買収により意気上がる北米市場など、ワールドワイドで、今後の活躍が期待されるエイサーが目指す、次のマーケットは日本だ。

 世界と日本の市場性は、言語のみならず、デザイン、機能などさまざまな点で異なる。そうしたギャップをチューニングし、日本市場に向けた製品、販売展開をどう進めていくか、その手腕が試されている。

 「日本はローカルブランドが強く、さらにPCのコアな技術の供給元という特異なマーケットを形成しています。その中で、エイサーらしさを出すためには、スピードと柔軟性を最大限に発揮する必要があります。例えばPanasonicならば『タフ』、アップルやソニーならば『かっこいい/スタイリッシュ』など企業ブランドには、イメージがありますが、エイサーは“Easy”という使いやすさとトータルパフォーマンスをアピールしていきたいと思います」(アンディ・チャン氏)。

 すでに、アジア・パシフィックでは、マレーシア、シンガポール、台湾などブランドポジションの高い国も存在する。アジア、そして世界でも屈指のマーケット・日本市場のブランドポジション向上に向けて、エイサーの今後の活躍から目が離せなくなってきた。

*連載第3弾では、日本市場に対するブランド/製品戦略を中心にレポートします。

*出典:Gartner Dataquest