Special Issue

<デジタルサイネージ特集>システム連携が市場拡大のカギ!

2008/12/18 19:56

週刊BCN 2008年12月15日vol.1264掲載

NEC
広告だけにとどまらない
広がりを見せるデジタルサイネージの世界

 NECディスプレイソリューションズは、プロジェクターや液晶ディスプレイなど幅広い製品ラインアップを有しており、オフィス用途からプロフェッショナルモデルまで、ニーズに応えた製品を提供している。ワールドワイドでの評価も高く、北米や欧州などでは高いシェアを獲得。証券取引所でも採用されるなど、認知度も高い。国内でもデジタルサイネージは注目されており、伸長が期待される市場だ。

システムとの連携で新たなサイネージの世界が広がる

 「北米や欧州ではデジタルサイネージが進んでいます。“デジタルサイネージ”という言葉も一般用語となり、新聞でも見出しに使われるまでになっていますね。用途も多岐にわたっており、市場としても二桁成長を続けています」と、NEC・ディスプレイ・ドキュメント事業部長の岡田靖彦氏は語る。

 NECは、高信頼のハードウェアによって高いシェアを獲得し、PCやサーバー、ネットワークなどに強みを持つ企業として知られている。インフラからハードウェア/ソフトウェアまで、ワンストップで提供できる数少ないベンダーの1社だ。「デジタルサイネージは、さまざまなシステムと連携することで、付加価値が高くなります。例えば、病院での予約システムと連携したデジタルサイネージなどは、目にした機会もあることでしょう。もともと持っている基幹系の業務と連携することで、新しいシステムが提案できます」(岡田氏)。

 たしかにパネルベンダーは、表示装置を提供することはできても、システムとして提案することは難しい。ネットワークやソフトウェアなどのノウハウの蓄積も必要だ。これらは一朝一夕で積み上げられるものではない。

 「デジタルサイネージは、広告の一手段として捉えられることが多いと思います。確かにそういう側面もありますが、企業内での情報共有や情報発信にも使えます。映像は人の感性を刺激します。その表示ツールとして、ディスプレイやプロジェクターなどのハードウェアを揃えています」と、NECディスプレイソリューションズ・国内販売本部長の鈴木文一朗氏は語る。

デジタルサイネージを支える高い技術力

 デジタルサイネージに適した出力装置を考えたとき、設置環境は当然厳しくなる。半屋外に設置するケースも考えられ、映像装置の信頼性・耐久性が非常に重要になっているのだ。NECディスプレイソリューションズでは、業務用に特化した開発設計を行い、最新技術やノウハウを投入することで、厳しい設置環境でも利用できる製品を提供している。「防滴防塵のディスプレイも開発しています。これまで以上に設置できる場所が広がるはずです。まだ試作段階ですが、非常に注目されています」(鈴木氏)。プロジェクターも好調だ。輝度の向上により、店舗のショーウィンドウや壁なども出力する場所として活用できるようになった。「曲面でもまっすぐな絵を表示させることができる幾何学補正機能などもあります。景観を損なわず、デジタルサイネージを利用できます」(鈴木氏)。

 さらに、インタラクティブ性を高めたデジタルサイネージも提供されている。セキュリティなどで利用されている「顔認証」の技術を使い、性別や年齢などを識別し、それぞれに適したコンテンツを表示させることもできる。

 「デジタルサイネージは、コンテンツ販売もビジネスとなります。業務アプリケーションとの連携やユーザーを誘導する仕組みなどにも活用でき、新たなビジネスを生む商材として適しています」(岡田氏)。

 システムを連携していくことで、広告としての活用、企業内の活用、リテールの活用、公共機関での活用など、幅広いデジタルサイネージの世界が実感できるものとなる。

iEXPO2008
ビジネスチャンスを創出する
デジタルサイネージの世界


 2008年11月に東京国際フォーラム(東京)で開催された「iEXPO2008」の会場では、いたる所でデジタルサイネージが活用されていた。まず会場入り口では65インチのパブリックディスプレイが掲げられ「iEXPO2008」の見所を紹介。裏側にあるPCから出力されたものだが、表示コンテンツを簡単に作成できるツール「ADWINDOW」もNECでは提供している。静止画・動画・テロップなどを組み合わせ、効果的な表示を実現している。

 NECのパブリックディスプレイは、高効率・長寿命のバックライトを採用しており、表示面からの熱輻射を抑え、輝度ムラのない均一画像を再現。複数ディスプレイの集中管理も容易で、1台のホストコンピュータから操作できる。また、15.5mmのスリムベゼルを採用し、マルチスクリーンを構成した際の映像の欠けを最小限にするといったモデルも投入されている。赤外線やエリアワンセグ放送、FeliCaリーダライタ搭載のデジタルサイネージを使って、映画のチケットや予告編、上映情報などを携帯電話向けに発信するシステムも提供されていた。

 NECは、POSシステムや情報配信のシステムなど数多くのソリューションを有している。それらを組み合わせたトータルデジタルシネマソリューションなども非常に好評だった。また、パソコンを使用しないデジタルサイネージも実施されていた。メディアプレーヤー「MP-01」をモニタ背面に搭載することで、スペースを気にせず情報表示することができる。さらにスタンドとモニタを組み合わせ、導入を容易にしたスタンド一体型デジタルサイネージキットも、効果的に配置されていた。デジタルサイネージは、広告という枠組みだけではなく、幅広い用途に活用され始めている。ソフトウェア/ハードウェア/コンテンツを有するNECの強みが存分に生かされた提案と言えよう。



NEC=http://www.nec-display.com/jp/