日立製作所は2009年9月、「JP1/Desktop Navigation」の販売を開始した。システム運用管理ツールのデファクトスタンダード「JP1」の姉妹製品で、PCのセキュリティ対策状況やマシンスペック・インストールソフトウェアなどを把握できるPC運用管理機能に特化した中堅・中小規模の企業向けツールだ。PCの運用管理業務は、台数を多く抱える大手だけでなく、中堅・中小企業でも負担が大きく、高コストに悩まされる分野。しかし、それら企業の要望に応えられるリーズナブルで運用が容易な製品はそう多くはない。「JP1/Desktop Navigation」では、こうした問題・悩みを解決する。PC運用管理ソリューションを提案するITベンダーにとって従来にない商材といえるだろう。

発売から約4か月、ユーザー・パートナーともに上々の評価


関芳治・ソフトウェア事業部JP1マーケティング部主任技師
関芳治・ソフトウェア事業部JP1マーケティング部主任技師
 「JP1/Desktop Navigation」は、数多くのPCの管理を他の業務と兼務することが多い中堅・中小企業のユーザーでも容易にこなせる機能と操作性を併せ持つツールだ。PCの管理に関する業務負担を軽減することで、企業の運用コスト削減につなげることができる。

 ユーザー企業は今、従来以上にIT運用コストの削減を経営陣から求められている。それはPCの運用についても例外ではない。それを解決するために、日立はおよそ2年の歳月をかけて「JP1/Desktop Navigation」を企画・開発。この秋に満を持してリリースした。

 発売から約4か月が経ち、関芳治・ソフトウェア事業部JP1マーケティング部主任技師は、マーケットの反応をこう話す。「ユーザーや販売パートナーともに高い評価で、手ごたえを感じている。10月と11月に全国6か所で自社セミナーを開催し、パートナーのイベントにも十数回参加させてもらったが、『分かりやすい』『運用の手間がなさそう』『リーズナブル』などのコメントを頂いている」。

 PC運用管理ツール市場は、国産を中心に複数のメーカーがひしめき合う激戦区だ。それでも、日立はユーザーと販売パートナーに高い評価を受けている。その理由はどこにあるのか。「JP1/Desktop Navigation」の特徴を分析してみる。

“見えないムダ”の排除と“見えないキケン”対策を容易に


 「JP1/Desktop Navigation」は、中堅・中小規模企業の“業務実態に即した機能・操作性”を徹底的に追求している。運用管理ツールを利用した経験がなく、専門の管理者を配置できないユーザー企業でも、負担なく安価に導入・運用できるのが最大の特徴だ。

 「ツールを導入しても、実際はツール自体の運用に手間がかかり、結果的に使われなくなる本末転倒なケースがある。『手軽に利用できない機能は必要ない』というくらいの気持ちで搭載する機能を厳選し、分かりやすさと使いやすさにこだわった」(関主任技師)。

 「JP1/Desktop Navigation」の機能は主に2つに区分けできる。1つが「“見えないムダ”の排除」、もう1つが「“見えないキケン”の対策」。“見えないムダ”とは、利用されていないPCやソフトライセンス、消費電力のことで、「JP1/Desktop Navigation」ではハードとソフトウェアの導入状況把握機能や電力制御・管理機能でそれらが浮き彫りになり、コスト削減につなげることが可能になる。

 一方、“見えないキケン”は、不正プログラムの侵入や情報漏えいなどのセキュリティ問題を指す。OSやウイルス対策は最新の状態か、許可されていない不正なソフトがインストールされていないか……。企業内に点在する複数台のPCを、一つひとつ日々チェックするのは膨大な作業で、高いセキュリティレベルを保つためには時間もコストもかかる。「JP1/Desktop Navigation」では、セキュリティを保つために必要な複数のチェック項目を、簡単に管理者が把握できる機能を搭載することで解決している。

一画面で運用状況を把握できるホーム画面で業務負担軽減


 これら複数の機能を効率よく使いこなすための工夫もされている。まず、ホーム画面だ。PCの運用状況をひと目で確認できるように、日々チェックすべき情報を、すべてホーム画面に集約して表示している。

 OSの更新プログラムやウイルス対策ソフトの定義ファイル更新状況などがグラフで分かるほか、問題が発生した場合は「どのPCで、いつ、どのようなイベントが発生したか」を時系列で把握できるようにした。PC運用管理者は、ホーム画面さえ見ていれば、PCの実態が把握できるわけだ。

「2011年7月18日時点の管理状況」を表示したホーム画面

必要な情報を一画面に表示したホーム画面
※「2011年7月18日時点の管理状況」をイメージした画面です。

 セキュリティ対策状況の詳細把握でも分かりやすさを追求した。現在のセキュリティ状況をひと目で把握できる「セキュリティ診断レポート」では、必要な項目を集計・グラフ化。付加情報を加えなくても、そのまま報告書として活用することも可能だ。

 中には、エージェントソフトを各PCに導入しないとこれらの詳細なレポートは作成できない製品もあるが、「JP1/Desktop Navigation」ではエージェントソフトをインストールせずに管理するという選択肢もある。管理者の負担を大幅に軽減させるわけだ。



「セキュリティ診断レポート画面」。報告書としてそのまま活用できる

 同製品は、ウイルス対策ソフトが最新の状態であるか、ウイルススキャンを実行しているかといった確認業務の効率化にも着眼している。最新状態に保ったPC(モデルマシン)を用意すれば、あとは「JP1/Desktop Navigation」が各PCの状況とモデルマシンを自動照合し、問題がある場合はメッセージを自動通知する。別途用意している「JP1/Desktop Navigationサポートサービス」を契約すれば、Windows更新プログラムが最新状態かどうかもチェックできるようになり、わざわざマイクロソフトのWebサイトで確認する必要がなくなる。


シンプルなシステム構成とライセンス体系、リーズナブルな価格


 これらの使いやすい豊富な機能を、シンプルなライセンス体系とリーズナブルな価格で販売しているのも特徴だ。ライセンスメニューは、初期導入時と追加購入時の2つだけに絞った。税込価格は、初期導入時で50ライセンス42万円、追加ライセンスは10ライセンス5万7550円。ライセンスだけでなく、サポートメニューも同様にシンプル・低価格で、「PC台数に限らず年間12万6000円」と1メニューだけで展開している。



システム構成と価格体系。どちらもシンプルでユーザーからは「購入しやすい」、パートナーからは「売りやすい」と高い評価を得ている

 システム構成もシンプルで、管理サーバーと管理用PCを用意するだけ。特別な知識を有するシステムインテグレーションは発生しないので、導入障壁は低い。

 関主任技師は、「シンプルなライセンス体系とリーズナブルな価格は、とくに評価が高い。システムインテグレーションが発生しないシステム構成と日立が提供するアフターサポートサービスも用意することで、パートナーからは『手離れがよく、売りやすい』と言っていただいている」と、この製品の評価を披露する。

 万一、ユーザーが操作上のトラブルやシステムトラブルを認識した場合でも、ユーザー自身が即座に対応できるように、2種類のマニュアルも用意。基本的な導入手順をまとめた解説書「スターターガイド」と、運用開始後の効果的な利用方法を説明する「クイックリファレンス」を提供している。

 

用意した2種類のマニュアルで、ユーザーの導入・運用を支援する

用意した2種類のマニュアルで、ユーザーの導入・運用を支援する

  「JP1」というブランドに「使いやすさ」を加え、シンプルなライセンス体系とシステム構成、そしてリーズナブルな価格で販売。激戦区でも存在感を示せる理由はここにある。

撮影/勝山弘一

※記載の登録商標について:企業名、製品名は、各企業の商標または登録商標です
※記載の内容について:画面表示をはじめ、製品仕様は改良のため変更することがあります