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リバーベッドテクノロジー クラウド・仮想環境の「アプリ遅延」はWAN高速化装置「Steelhead」が解決

2010/10/18 19:55

 TCO(総所有コスト)削減や運用・保守の効率化、ディザスタリカバリ(DR=災害復旧)対策などを行うため、多拠点に点在する既存のITシステム・インフラを自社やデータセンターへ統合・集約し「全体最適化」を図る動きが顕著になっている。

帯域管理は二の次? システム統合でアプリの遅延増大

 一方で、ITシステム・インフラを物理的・仮想的に統合することで、リモートオフィスの端末であるクライアント端末からWAN(Wide Area Network)回線を使う際には、課題が生じている。データセンターなどで集中管理・運用されているアプリケーションなどを使う時に、アクセス速度が遅延してしまうのだ。クラウド・コンピューティングの環境が浸透してくれば、プライベート/パブリックなどの利用環境を問わず、WANアクセスの遅延の問題は、より深刻になってくる。これは、WAN回線の潜在的な問題を二の次にしたために起きる。

 こうした課題を解決する手段として脚光を浴びているのが、リバーベッドテクノロジーが提供するWAN高速化製品「Steelheadアプライアンス」シリーズだ。システム統合に伴う仮想化環境やクラウド環境への移行を見据え、よりIT能力を引き出すために注目されている。同社は、「Steelheadアプライアンス」シリーズを中心に、企業システムのWAN最適化、アプリケーションやストレージの高速化を包括的にカバーするWDS(Wide-area Data Service)ソリューションを提供している。

 「Steelheadアプライアンス」シリーズは、堅牢で使用方法が簡単なWAN最適化能力をお客様の支店とデータセンターに提供することを売りに、国内WAN高速化装置市場で、トップシェアの43.5%(売上高)を獲得している(富士キメラ総研調べ)。導入すれば、帯域幅利用率を60~95%削減でき、アプリケーションを最大で100倍までも高速化できるという。「Steelheadアプライアンス」シリーズは、ブランチ拠点のIT統合を見据えた利用を想定した「RSP(Riverbed Service Platform)」というプラットフォームを備え、OSの「RiOS」上で仮想化技術を使ってWAN高速化機能と別のソフトウェア機能を5つまで提供できる。

 伊藤信マーケティングマネージャーは、「WAN回線の帯域不足、遅延によるネットワークやサーバー・レスポンスが遅くなるなどの課題に対して、RiOSを搭載する『Steelheadアプライアンス』シリーズは独自の技術を装備し、ユーザーの利便性やデータセンターの効率化、コスト削減を実現する」と語る。

伊藤信マーケティングマネージャー

 具体的には、ファイルのアップロードやダウンロード時間、http/httpsなど(グループウェアやCAD系システムにも対応)のクリック後の時間を短縮でき、メールの送受信を高速化できる。さらに、データセンターから拠点への通信の高速化とトラフィック量やサーバー上の全体的なCPU利用率の削減や低減を実現する。

 例えば、国内大手電器メーカーが「Steelheadアプライアンス」シリーズを、全世界の拠点に配置したところ、帯域が以前に比べ平均60%削減でき、レスポンスが4~5倍も改善したという。伊藤マネージャーは「大手の銀行や損保、商事会社などで採用が相次いでいる。アプリケーションを向上させたい、インフラのコスト削減をしたい、DRやバックアップ、リプリケーションを効率的に実行するために大容量のデータ転送をしたい、などのご要望に応え、顧客の満足を得ている」と、分散から統合へ環境を移行する企業で、評判が高まっていると自信をみせる。

WAN高速化・最適化装置が既存のIT資産を数倍の価値へ

仮想環境の遅延をなくす

 現在、リバーベッドテクノロジーは、仮想化やクラウドの環境を見据えた製品を拡充している。今年8月には、「Steelheadアプライアンス」シリーズの仮想バージョン「Virtual Steelhead」を発売した。それ以前には、モバイル環境にあるパソコンのネットワークパフォーマンスを高速化する「Steelhead Mobile」などを提供している。

 サーバーの仮想化環境で動作させる「Virtual Steelhead」は、仮想技術の「VMware」や「vSphere」のプラットフォームに対応。スペース上で制約のある場所や仮想化が進んだデータセンターなど、特殊な条件を必要とする環境でも、WAN最適化技術を柔軟に導入できる。伊藤マネージャーは、「本当に優れている部分は、重複排除の技術。WAN高速化装置のキャッシングや重複排除の技術で最小化されたデータをそのまま既存のNAS(Network Attached Storage)上にストアさせれば、ストレージの容量を減らすことができる」という。

 競合他社の製品と大きく異なる独自機能として、「ユニバーサルデータストア」がある。これは、同一の通信データを1回だけバイト単位のデータセグメントに保存し、数千以上のピアと通信する際に、データセグメントを何度も利用できるというものだ。競合他社製品のような「ファイルキャッシュ+ピアごとのデータストア」は、同じファイルを何度もキャッシュするので、パフォーマンス劣化が生じるという。リバーベッドテクノロジー製品の場合は「拠点を増加しても、パフォーマンスの劣化は発生せず、拠点ごとの通信でもレスポンスが落ちない」(伊藤マネージャー)と、拠点間の距離に関係なく、早く、簡単に導入できるのが特徴だ。

クラウド対応の新製品、11月にリリースへ

 リバーベッドテクノロジーはクラウド時代を見据え、11月にも「Cloud Steelhead」をリリースする予定だ。特徴は、「RiverbedCloud専用ポータル」。ここでは、そこでライセンス管理や契約管理、設定、導入などを行うことができる。また、クラウドのサーバーと直接連携しているので、同社のWAN高速化サービスと簡単に契約し、従量課金制でシンプルな運用管理ができるという。

 伊藤マネージャーは「WANでのパフォーマンス障壁を取り除き、クラウド・サービスの効果的な利用を実現する。ハードウェアアプライアンス、ソフトウェア、仮想アプライアンスにとどまらず、クラウドに適合しているのが当社の『Steelhead』だ」と話す。

 クラウドは、世界中にあるサービス・プロバイダのサービスを、どこにいても利用できる。利用者は、データセンターの所在地を指定することなく、クラウドを利用して運用コストの削減を目指している。だが、結果的には、距離が遠くなればなるほど、アプリケーション・アクセスの遅延は増大する。クラウド環境が広がるなかで、リバーベッドテクノロジーが提供する製品・技術は、いままで以上にユーザー企業に注目される存在になりそうだ。
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外部リンク

リバーベッドテクノロジー=http://www.riverbed.com/jp/

「Steelheadアプライアンス」=http://www.riverbed.com/jp/products/appliances/